みずほ銀が中堅企業の支援強化、人員10倍の70人に-物言う株主対策も
(ブルームバーグ): みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行は、上場中堅・中小企業の支援事業を強化する。過去1年で担当者を10倍の約70人と大幅に拡充しており、アクティビスト(物言う株主)などが求める成長戦略の策定や対話に関する助言機能を高める。
みずほ銀の加藤勝彦頭取がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。加藤氏は中堅・中小の中には業績などが「伸び悩んでいる企業が結構ある」と指摘。その上で、株価低迷を機にアクティビストに株式を持たれる場合もあるとし、こうした企業に「みずほの知見をしっかり提供する」と述べた。
東京証券取引所が企業に資本効率を高めるよう求め、アクティビストが国内で投資を活発化させる中、上場企業はより具体的な戦略を株主に示す必要に迫られている。みずほは大企業に比べ対応が後手に回っているケースが多い中堅・中小企業の助言ニーズに対応する。
みずほ銀は2023年4月に中堅・中小専門の「事業成長支援室」を新設。ニーズの強さから1年後に「事業成長支援部」に格上げし、人員を増やした。アドバイスの結果、事業売却や非上場化などの要望があれば、みずほ証券やみずほ信託銀行と連携し、M&A(企業の合併・買収)助言や融資でも収益を取り込む狙いだ。
楽天と協業
みずほFGは、みずほ証を通じて楽天証券に5割弱出資するなど、楽天グループとの距離は縮まっている。こうした中、みずほ銀は24年4月から楽天証と共同で「職域」活動を開始した。
職域とは、金融機関の担当者が企業や自治体の職場を直接訪問し、そこで働く職員に向けて取扱商品の営業やセミナーを行うこと。金融機関の個人向け営業部門では日本で伝統的に行われてきたが、異なるグループの証券会社と銀行が共同で職域活動を行うのは珍しい。
加藤氏によると、両社はすでに共同で職域セミナーを開催しており、「例えば、第1部でみずほ銀、第2部で楽天証のように、それぞれの商品についてそれぞれが説明している」と述べた。