「奇跡の村」が…“なり手不足” 77歳村長「引退」一転、「誠に不本意」出馬表明 「村は俺に任せろ」という声上がらず 立候補の動きなし
「なり手不足」を象徴する出来事です。長野県下條村の金田憲治村長は3月の議会で引退を表明していましたが、その後、立候補の動きが具体化しないことから、一転して出馬を表明しました。 7日、開会した下條村の6月議会。その冒頭ー。 下條村・金田憲治村長(77): 「誠に不本意ではありますが、出馬を決心したところでございます」 7月に迫った村長選への出馬を表明した金田憲治村長(77)。ただし、村長はそれを「不本意」と表現しました。 実は金田村長、今年3月の議会で、「公約は概ね果たせた」として、引退を表明していたのです。 しかしー。 下條村・金田憲治村長(77): 「『村は俺にまかせろ』という人が何人か名乗りを挙げて、新聞紙上をにぎわせていることを期待していたが」 5日の立候補者説明会では県外の男性が資料を持ち帰りましたが、他に立候補の動きは表面化していません。そこで止むを得ず再び出馬することにしたと言うのです。 下條村・金田憲治村長(77): 「村民の中に『次はどうなっちゃうんだ』と不安の声がかなり多くなってまして、私の方にもそういう話もあって、これがこのまま進んで誰もいなくて村長選を迎えたという段階になれば、これは良くないなと」 村は、伊藤喜平前村長の時代に、移住や子育て支援に力を入れ、2005年、35年ぶりに人口が4200人を超えるなど、「奇跡の村」とも呼ばれ各地から視察が訪れるほどでした。 しかし、2008年以降は減少が続き今月1日時点の人口は3400人余り。65歳以上が全体の3割以上を占めています。 人口減少や高齢化を背景に、村でも議員のなり手不足が起こり現在、議会も定数10に対し議員は9人と定員割れしています。その流れが自治体の長の選挙にも及んだ格好です。 村民: 「無投票は良くない。できれば新しい若い人に出てほしい」 「立候補する人がいないのはびっくり。子育ての補助とか、下條村すごくやっているので、村長代わらず現状でいいのかな」 金田村長は現在77歳。3期目を務めれば80代に入ります。 下條村・金田憲治村長(77): 「初心に戻って、心身ともにこの4年間が務められるように、エンジンをフル回転しないといけないかな」 村長選は7月2日告示、7日投開票の予定です。
長野放送