殿ダムにワイン搬入 千本超の貯蔵は中国地方初 鳥取・国府
鳥取市国府町殿の殿ダムに20日、同町でブドウ栽培とワインの自家醸造に取り組む「兎ッ兎(とっと)ワイナリー」が製造したワインが搬入された。年間通じて温度が一定に保たれるダム施設の内部を利用し、ワイン熟成の有効性を検証する。熟成したワインを商品化し、地域振興にもつなげる。 同社と鳥取市が、ダムを監理する国土交通省鳥取河川国道事務所の協力を得て実施した。ダムの施設内を点検する監査廊に、2024年11月~27年11月の3年間で計7200本のワインを貯蔵する計画。同事務所によると、ダム施設内でのワイン貯蔵は県内2例目で、千本を超える大規模な貯蔵は中国地方で初めて。 施設内の温度は年間を通じて、ワインの貯蔵に適した約15度で保たれている。ダムの利用により、ワインの温度管理に必要な年間消費電力が削減され、持続可能な開発目標(SDGs)の推進が期待される。 同日、殿ダム記念広場で開かれた式典には、同社の前岡美華子社長や深沢義彦市長、同事務所の貴田勝太郎所長などが出席。前岡社長は「殿ダム熟成ワインと一緒に地域の魅力も発信したい」とあいさつ。深沢市長は「全国でダムはさまざまな形で活用されている。殿ダムによる地域振興と活性化に期待したい」と話した。
日本海新聞