キオクシア、12月18日に東証上場 新株発行で277億円調達
Nobuhiro Kubo [東京 22日 ロイター] - 半導体大手のキオクシアホールディングスが12月18日に東証プライム市場へ上場する。東証が22日、上場を承認した。時価総額は当初目指していた1兆5000億円の半分程度の7500億円になる見通しだが、先端半導体の開発競争が激化する中、上場で資金調達手段を多様化する。 上場に伴う新株発行と売り出しの想定価格はともに1株1390円。12月2日に仮条件を決定し、12月9日に最終的な価格を決める。 キオクシアは新株2156万株を発行し、約277億円を調達する。生産能力の増強などに充てる。また、米投資ファンドのベインキャピタルが保有分のうち1444万株を、東芝が3593万株を売り出す。売出総額は、需要に応じた追加分を含めると最大850億円となる。 NAND型フラッシュメモリー世界3位のキオクシアは、東芝の半導体メモリー事業が前身。ベインが主導する連合が2018年に約2兆円で株式の過半数を取得して買収した。今も東芝が40%超を出資、HOYAも3%超を保有する。 キオクシアは20年10月、今年10月とこれまでに2回上場を計画したが、半導体市況の悪化などでいずれも見送った。今年10月の上場計画では目標の時価総額1兆5000億円に対し、投資家の評価は半分程度だった。 半導体の開発競争が激しさを増す中、同業の米ウエスタンデジタルとの合併も一時模索したものの、実現しなかった。 フラッシュメモリーが中心のキオクシアは、スマートフォンやパソコンの需要が世界的に落ち込んだことで2024年3月期に2連続の最終赤字になった。今年度の4─9月期は1760億円の黒字を確保したほか、今後は人工知能(AI)に必要なデータセンター向けの需要も高まる見通しだが、より処理速度が速い広帯域メモリー(HBM)を手掛ける韓国SKハイニックスなどとの競争が激しい分野でもある。 岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「長い目で見ればNANDフラッシュの大手として収益拡大が期待できる」と話す。一方、「NANDは(メモリーの一種の)DRAMほど顕著な需要拡大は予想されておらず、DRAMを手掛けるSKハイニックスや米マイクロンに比べるとバリュエーションで見劣りするかもしれない」と語る。 (久保信博 取材協力:平田紀之、浦中美穂)