桜花賞は群雄割拠 穴党記者が高配当演出の激走候補として期待する2頭は?
「近年、クラシック本番への直行ローテを選ぶ陣営が増え、有力各馬の仕上がりの見極めや、他馬との実力比較が難しくなっています。そこで、目を向けたいのがトライアル組です。 桜花賞においては特に、同じコース、同じ距離で行なわれるGIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)組は無視できません。昨年もチューリップ賞2着のコナコースト、3着のペリファーニアが、桜花賞でもそれぞれ2着、3着と好走。同じ舞台の重賞で結果を残している馬には、やはり注意を払うべきでしょう。 ですが、先にも触れたとおり、今年は昨年のような"1強"ムードではなく、群雄割拠の様相。馬券的な妙味をより求めるなら、"王道"のトライアル以外の前哨戦を勝ってきた馬。穴馬候補とするなら、そういった面々でしょうか」 そこで、水納記者は2頭の激走候補の名前を挙げた。 「1頭目は、ライトバック。出世レースでもあるリステッド競走のエルフィンS(2月3日/京都・芝1600m)の勝ち馬です。 とにかく印象的だったのは、同レースでの勝ちっぷり。狭いスペースの馬群を割って抜け出す姿に勝負根性を感じましたし、先に先頭に立った2着馬をきっちり差しきったのも見事でした。その2着馬がチューリップ賞で豪快な差しきり勝ちを決めたスウィープフィートという点も価値があります。 気性面を考慮し、陣営は当初から『桜花賞に行くなら(エルフィンSからの)直行。賞金が足りなくてもトライアルは使わない』と表明していました。それだけに、今回のゆったりとしたローテーションは何よりの好材料です。 また、同レースで手綱をとった坂井瑠星騎手が、この馬について『折り合いをつけるのは難しいが、今年乗った3歳牝馬のなかではかなり能力が高い』と評価。そのまま、同騎手が継続騎乗で本番に臨めるのは心強い限りです」
水納記者が推すもう1頭は、GIIIフェアリーS(1月7日/中山・芝1600m)を勝って挑むイフェイオンだ。 「過去10年でフェアリーSを勝って桜花賞に直行した馬が馬券に絡んだのは、2021年に3着となったファインルージュだけですが、同馬を含めて直近5年でフェアリーSの上位馬が3頭も桜花賞で馬券圏内に入っています。ファインルージュのほか、2020年に3着に入ったスマイルカナ、2022年に勝利したスターズオンアースがそうです。となると、この馬も軽視は禁物です。 同馬の武器は、何と言っても立ち回りのうまさ。未勝利を勝ったときから、位置を取る早さ、道中の折り合い、上がりの鋭さと、すべて優秀でした。 フェアリーSでも有利とは言えない8枠13番からの発走でしたが、そこからスムーズに先団につけて、直線で鮮やかに抜け出していきました。阪神競馬場は未経験ですが、中山のマイルを難なくこなしているので、問題なく対応できるでしょう。 同馬を管理する杉山佳明厩舎は開業4年目でクラシック初挑戦となりますが、2022年のGINHKマイルCでは最低18番人気カワキタレブリーの3着激走という結果をもたらしました。今回も、いい意味でファンを裏切るような仕上げで臨んでくるのでは? と期待しています」 熾烈な争いが予想される今年の桜花賞。その分、どの馬が勝ってもおかしくない。無論、ここに名前が挙がった2頭が勝ち負けを争って、高配当を演出する可能性も大いにある。
土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu