所得制限撤廃・第3子以降は「月3万円」に。2024年12月から拡充予定の児童手当をおさらい
2023年6月13日、岸田首相が「こども未来戦略方針」の閣議決定を受け、記者会見を行いました。 【図表で見る】児童手当の支給額&所得制限はいくらか? その中で表明されたのが、児童手当の所得制限の撤廃、支給期間の3年間延長、さらに第3子以降は3万円への拡充など。「異次元の少子化対策」として話題となりました。 ただ、気になるのは財源確保の問題。10月の衆議院予算委員会でも度々触れられているようでした。我々としては国民負担などが今後どうなるか、注目したいところです。 なお、岸田首相は2023年10月26日の政府与党政策懇談会で、児童手当の拡充支給の開始を当初の2025年2月から2ヶ月前倒しし、2024年12月に初支給を行うことを表明しました。 本記事では児童手当が現行の制度からどのように変わるのか、現行制度の振り返りと新制度の整理をしていきます。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
おさらい:現行の児童手当はどのように支給されている?
まずは、現行の児童手当制度についておさらいしておきましょう。 そもそも「児童手当」とは、家庭や児童を育てる環境における生活の安定や、子どもの健全な育成を支えることを目的とした制度です。 ちなみに、保育料や申し出のあった家庭の学校給食費などを、市区町村などの自治体が児童手当等から徴収することができます。 子どもの年齢や人数によって支給額が異なり、また所得制限が設けられているのが特徴。それぞれについて、詳しくみていきます。 ●子どもの年齢や人数で異なる「児童手当」の支給額 2023年10月時点の制度では、中学校卒業まで(15歳の誕生日後、最初の3月31日まで)の子どもを育てている対象の家庭に対して、下記の金額が支給されます。 ・3歳未満:一律月額1万5000円 ・3歳以上(小学校終了前):月額1万円(第3子以降は1万5000円) ・中学生:一律月額1万円 たとえば、1歳の子どもをひとり育てている家庭の支給額は月1万5000円。5歳と中学生の子どもを育てている家庭の支給額は月2万円というように算出されます。 支給される時期は、原則、毎年6月・10月・2月。それぞれの前月までの手当が支給されています。つまり、6月の支給日には2~5月分、10月の支給日には6~9月分、2月の支給日には10~1月分の手当が支給される形です。 子どもの年齢や人数に応じて支給額に多少の変動はありますが、子育て期間中に毎月1万円前後の支給手当がもらえるのは、嬉しい制度といえます。 しかし、現行の児童手当には所得制限が設けられています。一定の収入を超えている場合、受け取れる金額はどのようになるのでしょうか。 ●「児童手当」制度における所得制限 現行の制度では、主たる生計者の年収が高い場合に児童手当が減額、あるいは支給されないケースがあります。 上図のとおり、扶養親族等の数により「所得制限限度額」と「所得上限限度額」が設定されています。主たる生計者の年収だけでなく子どもと年収103万円以下の配偶者の人数により限度額が異なる点にご留意ください。 たとえば、小学生の子どもを2人養育している専業主婦・会社員の夫の世帯で、夫の年収が1000万円の場合、子ども1人あたりに支給される手当は5000円となります。 ちなみに、この所得制限を判断する収入は「世帯収入」ではなく、「世帯のうち年収が高いほう」が基準となります。そのため合計の世帯年収は高いにもかかわらず、児童手当をもらえるケースが出てきてしまうのです。 このギャップが「児童手当の趣旨に反する」「働き方による不平等さ」といった声を生み、以前より問題視されていました。そしてついに、今回の政策では所得制限を撤廃する方向で調整が進んでいるようです。