富山県、四季防災館の地震体験コーナー刷新 26年度改装オープン、倒壊映像で臨場感高める
県は、災害の体験型学習施設「四季防災館」(富山市惣在寺)の2026年度の改装オープンに合わせ、地震体験コーナーを刷新する。スクリーンに家具の倒壊映像を映し、臨場感を高める。能登半島地震による液状化被害を伝える写真パネルも設置。シアターを大幅改修し、VR(仮想現実)で災害を疑似体験できるようにする。県民に災害発生時の状況をより具体的に想像してもらい、防災力向上につなげる。 2012年に開館した四季防災館は、同年や、全国消防操法大会が開かれた18年に年間4万人が訪れたが、近年は2万人台に減少していた。各種展示のマンネリ化が指摘され、県は21年に改修検討に着手。能登半島地震をはじめ自然災害が続いたこともあり、災害のリスクを正確に伝えるとともに、防災意識の普及啓発につながるアイデアを練ってきた。 地震体験コーナーでは、起震装置に乗って震度1~7の揺れを体感できる。これまでは揺れの大小を示す地震波の波形図を画面に映していたが、リアリティーに欠けるため、スクリーンを設けて家具の倒壊や物の落下の映像を流す。装置の周りを壁で囲み、外の景色を見えなくして没入感を高め、より狭い空間で地震に遭う事態を想定してもらう。
県消防課の野畑美千子主幹は「災害時は周囲の状況を冷静に見ることは難しい。地震に遭うことを少しでもイメージしておけば、万が一の時の的確な行動につながる」と説明する。 液状化に関するコーナーでは、能登半島地震による被害の実態を写真パネルで紹介する。建物の倒壊や道路などライフラインの被災の様子も伝える。VRシアターでは専用ゴーグルを身に付け、災害の恐ろしさを感じてもらう。 能登半島地震から1年が経過し、県民の危機意識の低下が懸念されている。県の県民アンケートでは、自らの防災対策が「十分進んでいる」「どちらかといえば進んでいる」と答えた人の割合は、震災前の22年(計13・7%)から増えたものの、計18・5%にとどまっている。 県は、能登半島地震の14検証項目の一つに「事前の備え」を盛り込んでおり、今後、県民への啓発を強化する。17日は阪神大震災から30年の節目でもあり、野畑主幹は「一人でも多くの県民に地震の怖さを体感してもらい、日頃の備えに生かしてほしい」と呼びかけている。