菅義偉氏、進次郎氏が “仇敵” 麻生太郎氏に「応援要請」容認の大誤算…自ら電話作戦「必死の様相」漂う自民重鎮たち
「小泉進次郎氏が麻生太郎副総裁と面会 自民党総裁選の支援要請か」(朝日新聞デジタル) 【画像あり】進次郎陣営、総裁選「立候補」を誤字投稿 「小泉進次郎氏、麻生副総裁と面会 『力を貸してください』」(共同通信) 9月24日夜、報道各紙からこんな見出しが踊る記事が相次いで出てきた。 自民党総裁選(9月27日投開票)に立候補している小泉進次郎元環境相が、麻生太郎副総裁と都内で約30分面会し、議員票への上積みへの支援を求めたというのだ。 「朝日新聞」によれば、面会は小泉氏側からの要請で、上位2人による決選投票に進んだ際の支援を求めたとみられるという。現在、総裁選の情勢は「石破茂元幹事長、高市早苗経済安全保障相、小泉氏の3人が競っている状況」(政治担当記者)だが、報道各社の数字が異なっていて、まだはっきりと戦況は見えてこない。 「ただ、今回の面会報道で注目されているのは、小泉氏の後ろ盾となっている菅義偉前首相と麻生氏は、今回の総裁選でキングメーカーの座を争っている “仇敵関係” だということです」(同) そうした背景もあり、小泉氏の「応援要請」について、X上では《菅さんの顔潰してる》《二股かけるとは》といった批判の声が上がっている。 じつは、小泉氏は麻生氏と面会した同日、世耕弘成氏とも面会したことが報じられている。政治部デスクがこう話す。 「麻生氏や世耕氏と面会することは、当然、菅氏に相談したうえで決めているはず。なぜなら、菅氏も小泉氏の議員票の低迷を危惧して、個別に電話をかけて投票を頼み込んでいるそうですから。 それだけ切羽詰まった状況で、進次郎氏は麻生氏、世耕氏以外の元派閥幹部級の議員のもとを回ったと聞いています。なにより誤算だったのは、党員票が伸び悩みそうなこと。現状では、1回めの投票で上位2名に入ることはなかなか厳しいと見ているようです。 おそらく、小泉氏に頼み込まれても、麻生氏が支援することはないでしょう。一方、麻生氏にとっては、小泉氏が “頭を下げにきた” ことで、大物感を演出することができ、ご満悦だったはず」 ただ、存在感を誇った麻生氏についても、けっして安泰ではないようだ。今回の総裁選の展開を自民党関係者はこう解説する。 「今回の総裁選は “裏切りの連続” ですからね。麻生氏は、自派閥の54人をまとめられなかったものの、一応、派閥としては河野太郎デジタル相を支援すると約束しました。 しかし、河野氏の票がまったく伸びないことがわかり、戦術を変更したようです。小泉氏と石破氏による決選投票だと自分の居場所がなくなり、政治家としての力がなくなってしまう。 『朝日新聞』も書いていましたが、小泉氏と石破氏の決選投票になったら、麻生氏は『亡命するしかねえな』と周囲に語っています。自虐的に言っていますが、つまり『日本に自分の居場所がなくなる』と吐露しているわけです。 これはほぼ本心に近いと思いますよ。そこで、3番手あたりにつけていた高市氏を1回めの投票で、上位2名に入れようと画策し始めたようです」 麻生派関係者もこう話す。 「河野氏の推薦人20人のうち麻生派の議員は18人います。上川陽子外相の推薦人は麻生派から9人、小林氏には4人、高市氏には2人、茂木敏充幹事長には2人、小泉氏には1人、加藤勝信元官房長官には1人います。 しかし、高市氏の推薦人になった麻生派の中村裕之衆院議員が、麻生派の議員らに対して最近こう話して回っています。『石破と小泉が決選投票になったら、まずいですよね? と麻生会長に話したら、そりゃ、そうだわなと答えた』と。つまり麻生氏は、自分で直接言えない代わりに中村氏を通して、高市氏に入れろと圧力をかけているようなのです。 これを聞いた議員らは、みな逆に怒っています。『ウチは河野じゃなかったのか』と。なので、すんなりと高市氏に投票する麻生派議員はそんなに多くない感じがします。 一方で、麻生氏の “意向” を伝え聞いた河野氏は怒り心頭のようです。こんな調子が続くようじゃ、唯一残った麻生派は分裂どころか解体しかねません」 また “高市推し” に変更したのは、麻生氏だけではないという。 「森喜朗元首相は、当初は自分の子分である萩生田光一前政調会長に『進次郎を推せ』という指令を出しておきながら、進次郎が自分の言うことを聞かないことを知ると手のひらを返しました。 自民党には、来年夏の参院選で改選を迎える50人超の参院議員がいますが、まだギリギリまで投票先を決めていない議員が多い。そこで、自民党を離党したものの、党内の参院議員に影響力を持つ世耕弘成前参院幹事長にも『高市に入れるように動け』という指令を出したのです。 まさに重鎮たちがうごめき、最後の悪あがきをしている。そうした重鎮たちの動きを察知したうえで、小泉陣営としてはあらゆる手を使うしかないと判断したようです」(前出・自民党関係者) 藁をもつかむ思いで “敵対陣営” にすがった小泉氏。しかし、その裏ではかつて自民党を率いてきた重鎮たちも、右往左往していたとは――。