市民農園を借りたら、すっかり農業にハマってしまいました。自分が育てた新鮮な野菜、たくさん採れたので売ってもいいですよね?
【Aさんのご相談内容】 私はもともと農業に興味があり、試しに市民農園を借りました。すっかりハマってしまい、ナス、キュウリ、ミニトマト、インゲンなど植えたら、わが家では食べきれないほどたくさん収穫が! 農園の前に並べて売ったのですが、知人のBさんから「え? それってダメなんじゃないの?」と言われました。これって違法行為ですか?
市民農園とは
農林水産省によると、市民農園とは、「サラリーマン家庭や都市住民の方々が、レクリエーションや生きがいづくり、生徒・児童の体験学習などの多様な目的で、小面積の農地を利用して野菜や花を育てるための農園」のことをいいます。 市民農園と呼ばれるほか、「ふれあい農園」や「農業体験農園」などいろいろな愛称で呼ばれています。現在では、市区町村だけでなく農協や農業者、企業等が主体となって市民農園を開設しています。 令和5年3月末時点で全国に4308ヶ所あり、その数は年々増えています。
野菜の販売そのものに許可等は必要なの?
許可等に関してですが、販売方法によって異なります。 まず、ご自身の畑で収穫した野菜の販売自体に営業許可は不要です。ただし、作物を加工した農産物加工品(例:漬物・ジュース等)を販売する場合は、営業許可の取得と食品衛生責任者資格が必要となります。ただし、野菜を仕入れて販売する場合は、野菜果物販売業の届け出をする必要があります。 また、野菜をネット販売する場合は「特定商取引法」の対象です。よってその場合は、ネット販売しているサイトに、あらかじめ定められた情報(事業者の氏名・住所・電話番号等)を記載する必要があります。 これら以外にも、その畑で農薬を使わずに育てた野菜を「有機野菜」として販売したい場合は、認証機関の許可を受けるか、JASが認可している方法で生産する必要があります。 今回のご相談の場合、Aさんはご自身が借りている畑で収穫した野菜を農園の前において並べて売っているので、営業許可等は不要ですが、農園の前が公道の場合、道路交通法上の「道路使用許可」を取る必要があるなど、また別の問題が出てきます。