米中緊張で貿易の流れ混乱、暗いシナリオ懸念-スティグリッツ教授
(ブルームバーグ): 米国と中国の緊張関係が高まり、世界の貿易の流れを混乱させ始めており、新興国にとってはチャンスであると同時にリスクでもある。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授はこうみている。
同教授はニューヨークで25日開催されたブルームバーグ・ニューエコノミーのイベントで、米国が対中エクスポージャーを減らすにつれ、アジアから中南米に向かう新たな貿易関係が生まれていると指摘。
「中国で行われている生産は全て国外に移転する」と予想し、「中国からベトナムへ、中国からメキシコへと、商品が大量に迂回(うかい)する第一段階にある。まさにフローパターンの変化だ」と述べた。
2001年にノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授によれば、中国が脅威であるという認識が米国に「脱リスク」を促している。これが、第2次世界大戦後、ほぼ確立されてきた世界貿易のシステムに変化をもたらしている。
同教授は「その新しい世界では、正しい側に立つことが非常に重要となり、それは新興国市場や途上国にとって大きな好機になる」と分析。特に、対中輸出の大きい中南米各国のような原材料生産国にとっては、その傾向が強いと話した。
これらの国々の中には、バリューチェーンを動かし、より多くの製品を国内で生産することで利益を得る国もあるが、米中関係が悪化し、中国との貿易を米国が制限するようなことがあれば、新興国市場に広範な影響が及び得る。
「それは暗いシナリオであり、本当に難しい状況だ」とスティグリッツ教授は語った。
原題:Stiglitz Says US-China Tensions Are Upending Global Trade Flows(抜粋)
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Leda Alvim