<The追跡>“下請けいじめ”日産が動いた日 自動車各社に波紋 【WBS】
5月10日にWBSが報じた日産自動車が下請け企業に対して一方的な減額の強要を続けていた問題で23日、内田誠社長が謝罪し、今週、経緯を説明することになりました。日産だけでなく業界全体に広がる波紋を追跡取材しました。 日産内田社長 下請け減額問題で謝罪 調査結果公表へ 自動車メーカーで下請け企業との取引を担う購買部門。下請けからいかに安く部品を買い、生産コストを抑えるか。この原価低減が会社の利益に直結するため、購買は強い権限を持ち、下請けと向き合います。 22日、衆議院第一議員会館でテレビ東京のカメラだけが姿を捉えた人物は、日産の坂本秀行副社長。購買担当の役員です。幹部たちは、自民党の宮内経済産業部会長など複数の国会議員を訪問。そのやり取りを面会したある議員が明かしました。 「報道の事実があったように言っていた。彼ら(日産の副社長ら)には『責任をどう取るのか。あなたたちがどうするかだ』と言った。日産側は神妙に『しっかりそのようにやります』と言っていた」(日産幹部と面会した議員) 日産幹部が事実を認めたとする報道とは、5月10日にWBSが報じた日産自動車が下請け企業に対して一方的な減額の強要を続けていた問題です。日産が3月に公正取引委員会から再発防止の勧告を受けた後も同じ行為を続けていると複数の下請け企業が証言したのです。 日産の内田社長は23日、報道後初めて謝罪。取引先と向き合っていくことを強調した上で、今週調査した結果を公表するとしました。 「当社がどういったやり方をしていたのか。そこに改善すべき点がないのかを踏まえて今後対応していく」(内田社長)
“下請け対応フォーム”も判明
日産による不当な買いたたきが続いていると証言した下請けの部品メーカーB社の営業担当者は 内田社長の会見をどう受け止めたのでしょうか。 「根本的にはやはり変わらないかなと少し諦めている。『中小企業があるからこそ大企業がある』と6~7年前から同じことを言っている」(B社の営業担当) B社の営業担当は日産から送られてきたというある資料を見せてくれました。それが「インフレ申請対応フォーム」です。下請け企業が日産に請求する原価を引き上げたいとき、その内容や背景を記入して引き上げを申請するフォームです。 4月と5月に送られてきたというこの申請システム。日産が下請け企業と直接向き合う仕組みですがB社の営業担当は「『取引はなくなるだろう』という覚悟をしないと、このフォームには書き込めない」と話します。なぜなのでしょうか? 「これが日産の本体から担当バイヤーに行く時点で、われわれと担当バイヤーの関係性が悪くなるのは目に見えているのでこれを出すことはできない」(B社の営業担当) 申請した内容は日産本体の購買管理部に送られた後、最終的にはその会社を担当するバイヤーから連絡させるとしています。さらにバイヤーとの議事メモも添付するようにという指定もありました。 「本音は書けるか?」(記者) 「書けない。書いたら切られる。一度、内部告発をしたことがあるが担当者からいじめというか、切られた経験を持っている。やはり購買とはうまくやっていかなければいけない」(B社の営業担当) 購買を経験したことのある内田社長。果たして下請けの生の声をどこまで吸い上げ、再発防止策につなげることができるのでしょうか。