わらの牛、残った 小矢部・源平火牛まつりでおなじみ 北蟹谷活性化協、めるへん劇団が共同で維持管理、活用
小矢部市民に親しまれ、今年、通算34年の歴史に幕を下ろした「メルヘンおやべ源平火牛まつり」で使われていた「わらの牛」が地元の北蟹谷(きたかんだ)地域活性化協議会と市民劇団「めるへん劇団」によって保存されることが決まった。当初は処分される予定だったが、「地域の財産」として両団体が共同での維持管理を申し出た。今後、北蟹谷地区のイベントや劇団公演で活用する。 わらの牛は大(重さ約800キロ)、中(重さ約500キロ)、小(約200キロ)の計6頭ある。木曽義仲が用いた戦略「火牛の計」にちなんだレースや武者姿の市民が練り歩く「源平火牛たいまつパレード」で使用されていた。 北蟹谷地区には倶利伽羅合戦で平家軍の人馬がなだれ落ちたといわれる「地獄谷」などの史跡があり、両団体は「廃棄するのではなく、地域活性化に役立てたい」として、源平火牛まつり実行委員会に保存を打診した。 両団体の関係者が9日、わらの牛が保管されている小矢部市赤倉の倉庫から大型トラックに6頭を積み、埴生地区の倉庫へ移した。今後、わらやしめ縄を交換する。小さなわらの牛1頭は近く、埴生護国八幡宮に隣接した案内休憩施設「俱利伽羅源平の郷埴生口」に展示する。 めるへん劇団監督を務める野澤敏夫北蟹谷地域活性化協議会副会長(70)は「みんなでアイデアを出し合って小矢部の元気づくりに役立てたい」と話した。まつりの中心メンバーだった劇団員の西谷清さん(53)は「処分されるのはしのびなかったが、新たな形で残るのはありがたい」と語った。