コーヒー愛飲家に「悲報」、世界的にさらなる価格高騰の恐れ 第2位の生産国ベトナムの干ばつで
ベトナムではコーヒー豆の栽培者が今年、ほぼ10年ぶりの干ばつに見舞われている。その結果、毎朝私たちが飲むエスプレッソの値段がさらに高騰する可能性がある。 ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国であり、エスプレッソやインスタントコーヒーに最もよく使われる品種であるロブスタ豆の最大の生産国でもあるからだ。 ベトナム国内の来シーズンの収穫見通しは依然として厳しく、同国の商品取引所は猛暑により生産量が10―16%減少すると予想している。 ドアン・ヴァン・タンさんは中部ジャライ省出身の39歳のコーヒー農家だ。 コーヒー農家 ドアン・ヴァン・タンさん 「干ばつでこの一帯と周辺地域が干上がってしまった。水不足が深刻で、昨年に比べてコーヒーチェリーの収穫量が非常に少なくなっている。生産量が大幅に減少した」 コーヒー豆の価格が記録的な高値に達し、農家は臨時収入を得ている。コーヒー農家はまた、猛暑の中で木を保護するための新しい戦術を試している。例えば、木をより長く成長させ、根がより深い水源に届くようにしている。 また土壌を柔らかくしたり、葉っぱで覆うことによって、雨水や肥料の吸収を改善しようとしている。 ここ数週間の降雨量の回復で見通しは改善し、農家や当局者は自信を深めている。しかし気象条件の改善と、栽培の新たな工夫が、ロブスタ豆の生産量増加と価格低下につながるかは不透明だ。 米農務省は、ベトナム国内よりは楽観的で、次回の収穫量はほぼ横ばいになると予想する。 ただ収穫量への影響がどうあれ、世界のコーヒー価格が上昇する可能性は高い。これまでのところ記録的なコーヒーの卸売価格が、消費者物価に与える影響は限定的だが、変化の兆しも見える。 欧州連合(EU)統計局の最新データによると、4月のEU域内のコーヒー価格は1.6%上昇。なかでもロブスタ種を愛するイタリアでは2.5%上昇した。 それでも1年前の値上がり幅を大きく下回っているが、3月に発表した指数を1%も上回っており、焙煎業者がコスト上昇分を消費者に転嫁し始めた兆候かもしれない。