北海道のくしろせんもん学校で校内育ちのイチジクたわわ 立派な実
「今年はこんな立派な実が付きました」―とイチジクの実を手にするのは、くしろせんもん学校(北海道釧路市昭和中央2)の大西英一環境・教育センター長。キノコをはじめ植物全般のスペシャリストだが、10年ほど前に本州の知人からイチジクの枝を譲り受け、学校の研究室につながる階段の踊り場に鉢を置いて植えたところ、すくすく育ち、4年ほど前から実を付けるようになった。 「昨年は不調だったが、今年は立派な実が七つも八つも付いた。もう熟してはち切れんばかりだ」と手を伸ばすと、一つ〝ボツン〟と音を立てて床に落ちた。 「これは長寿の果物だ。エジプトのピラミッドにもイチジクの実が描かれている。これはうまいぞ」と思わずにっこり。現在88歳の大西センター長は「もうすぐ90歳だ。一つ頂こう」と笑顔を見せていた。 大西センター長いわく、イチジクは本州以西では庭先にも育つ果物で、珍しくはないが、寒冷地の釧路で育つのは極めてまれという。階段の外から太陽の光が差し込むこの場所が好条件のようで、大西センター長は「木があまり大きくなって駄目だ。この木も次の嫁ぎ先が決まっている。ここで実を付けるのも今年で最後か。あと2、3日すれば、実がはじけるかな」と愛おしそうにイチジクの実を眺めていた。
釧路新聞