「年収年齢や学歴」が同レベル男女の結婚は増えた? 大企業社員や官僚や政治家が知らない実態
結果から言えば、妻が20代の「年収同類婚」の割合は、2012年で19%、2022年で20%であり、全体としてこの10年間でそれほど増えたというものではありません。ちなみに、2022年において、夫のほうが年収の高い「上方婚」は70%、夫の年収が妻を下回る「下方婚」は10%でした。 ■互いが相手に求める年収に変化 しかし、「年収同類婚」の分布を夫の個人年収別に、2012年と2022年で比較すると、また違った景色があらわれます。以下がそれをグラフ化したものです。
2012年においては、夫の年収150万~300万円がもっとも年収同類婚数が多く、単純に夫婦で300万~600万円という世帯年収での結婚が多かったということになります。しかし、2022年になると、最頻値は400万~500万となり、夫婦で800万~1000万円の世帯年収に上昇してしまいました。 これは、「年収同類婚」として互いの相手に求める年収のハードルがあがったことを意味します。言い換えれば、ほんの10年前まで、個人で300万円の年収があれば、「年収同類婚」ができていたのに、今では最低でも400万円の年収が求められるようになったということです。
20代の若者にとって、これは厳しいハードルとなります。国民生活基礎調査によれば、2023年においても、20代若者(未既婚含めた全体)の年収中央値は、334万円に過ぎず、400万円以上となると上位20%に限られてしまうからです。2022年就業構造基本調査での25~29歳の未婚率は、男77%、女68%であり、数字の辻褄は合っています。 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が定期的に実施している「20代の金銭感覚についての意識調査」では、「結婚しようと思える世帯年収はいくらか」を聞いていますが、2014年時点では379万円であったものが、最新の2024年調査では544万円にまで高騰しています。実態としての個人の年収がそれほどあがっていないにもかかわらず、「結婚できる年収」だけがインフレを起こしているというのが今の若者を取り巻く状況です。