「この追い風で全勝できなければ…」 立民・泉氏も正念場の衆院3補選 代表就任後の国政選挙は全敗中
衆院3補欠選挙は、政権の浮沈が懸かる岸田文雄首相だけでなく、立憲民主党の泉健太代表も去就を左右する正念場の戦いとなっている。代表就任から2年余り、公認候補を擁立した国政選挙が全敗しているからだ。今回、二つの不戦敗で自民党の負け越しが確定した中、立民の負けが込めば責任論が噴出しかねない。 【図解】衆院3補選を巡る自民党の勝敗と影響 「われわれが勝たなければ岸田首相は反省しない。政治改革も進まない」。19日、泉氏は、東京都江東区の下町情緒が漂う商店街の一角で、東京15区の立民新人への支持を呼びかけた。 立民は、与野党一騎打ちの島根1区、自民が擁立を断念した東京15区と長崎3区の全選挙区に公認候補を立てた。「自民に代わる政権政党と認めてもらう最大の好機」(立民幹部)と、野田佳彦元首相ら党首級を各地に投入。全勝を狙う。 先頭に立つ泉氏は告示の16日に東京、17日に島根、19日に東京、20日には長崎と連日選挙区入りしマイクを握っている。21日には首相と同じく島根入りする。 精力的な立ち回りは危機感の裏返しだ。党代表に就いた2021年11月以降、公認候補を立てた22、23年の衆参各補選は全敗し、22年参院選も6議席減らした。「選挙の顔」を果たせていない上、直近の政党支持率も10・9%と逆風下の自民(25・1%)に遠く及ばない。若手・中堅を中心に不満が鬱積(うっせき)しており、枝野幸男前代表や野田元首相の代表待望論がくすぶる。 3補選はここまで、「立民有利」との見方が永田町でにわかに広がり出している。ただ島根は旧民主党政権が誕生した09年衆院選でも勝てなかった「自民王国」だけに「後半戦の底力が怖い」と立民幹部はこぼす。 長崎、東京では、野党第1党を争う日本維新の会が「立民に投票しないで」「たたきつぶす必要がある」(馬場伸幸代表)と立民に矛先を向け、政権批判票の奪い合いが激化している。 秋に3年の代表任期を迎える泉氏。立民中堅は「この追い風の政治情勢で全勝できなければ、次期衆院選はいよいよ厳しい。負け越しでもしたら、代表選を見据えた『泉降ろし』の、のろしが上がりかねない」と声を潜めた。 (岩谷瞬)