ノーベル平和賞の授賞理由を読み、涙する花垣さん（１１日午後７時２３分、京都市中京区）＝撮影・三木千絵

　ノルウェーのノーベル委員会は11日、日本原水爆被害者団体協議会（被団協）にノーベル平和賞を贈ると発表した。 【写真】平和賞発表の瞬間、世界の報道陣驚き 　5歳の時に広島市で被爆した京都市北区の花垣ルミさん（84）は、待ちわびた吉報に「本当に良かった」と声を弾ませた。 　核兵器禁止条約を批准しない日本政府に対し「戦後80年が経過しようとする中、被爆者がいなくなるのを待っているのか、とさえ思ってしまう」。今回の授賞がそんな姿勢を変えさせる弾みになればと期待した。 　語り部活動を20年続けてきた。証言のたびに痛ましい記憶を呼び起こさなければならないのは苦しい。それでも次世代へ伝えなければ、起きてはならないことが繰り返されると自らを駆り立ててきた。「使命感を持って長年語り続け、亡くなった先輩がたくさんいる。広島の地面に手を触れ、報告したい」と語った。 　ウクライナやパレスチナでは戦火が続く。いまだ核兵器が残る現状に「どうして人間に核が必要なの。（今回の授賞を）廃絶を訴え続ける励みにする」と花垣さん。核の脅威に対峙（たいじ）してきた被爆者に敬意を表した授賞理由をスマートフォンで読み、涙ぐんだ。