大阪湾「クジラ増」に自治体苦慮 温暖化と「迷宮構造」影響
大阪湾に迷い込むクジラが増え、自治体が対応に苦慮している。専門家は、太平洋に生息するクジラが頻繁に現れる理由を地球温暖化の影響と指摘。さらに大阪湾の構造が「クジラにとって迷宮になっている」と推測する。港湾局の担当者は「太平洋に戻るよう願うしか、できることはない」と頭を抱える。 クジラの増加理由を、大阪市立自然史博物館友の会の鍋島靖信会長は「地球温暖化で太平洋と大阪湾の水温差が小さくなっているため」と指摘する。さらに2017年から続く「黒潮大蛇行」の原因とされる低水温の渦が太平洋側で発達し、水温差はより縮小。クジラだけでなくイルカ、ウミガメも多く見つかっているという。 大阪湾の構造も原因の一つだと分析する。今回クジラが最初に発見された神戸市周辺の港は単純な構造だが、大阪市や堺市周辺はかぎ形のように入り組んだ場所が多い。 19日に死骸が見つかった堺市堺区の堺泉北港は、袋小路の構造。クジラは音波を発して自分の位置や進路を確認するため、大阪湾は「一度入ると抜け出せない場所だ」という。鍋島さんは「自治体は研究機関と連携して生態調査を進め、有効策を模索すべきだ」と話している。