平和、命の大切さ語り継ぐ 奄美出身者らの「ほこらしゃの風」 鹿児島市でイベント
鹿児島県本土在住の奄美出身者で組織するNPO法人ほこらしゃの風(義山昭夫理事長)主催のイベント「民族の気概~戦中戦後の奄美を語る夕べ」が4日、鹿児島市の上之園公民館であった。80歳を過ぎてから自身の体験を語り始めた戦争遺児の男性の講話を通じて、参加者が戦争の悲惨さや平和、命の大切さを再確認し、後世に語り継いでいくことを誓った。 奄美群島の日本復帰運動の歴史を継承しようと、ほこらしゃの風では10年ほど前から毎年8月に「断食祈願」の追体験を行っている。義山理事長によると、参加者の高齢化や猛暑による体調への影響を考慮して、今年は趣向を変えた催しを企画した。 イベントには約40人が参加。講師は伊仙町出身で、太平洋戦争で父親が戦死した吉見文一さん(83)=鹿児島市在住=が務めた。 吉見さんは、父親が亡くなる約1年前に書いた遺書が戦地から届いた経緯や、吉見さんの体験を孫が「初めて父と呼べた日」の題でつづり、出場したスピーチコンテストで最優秀賞に選ばれたことなどを紹介。「戦争遺児はほとんどいなくなった。私は生きている限り、語り継いでいくことが宿命だと思っている。命を大事にし、平和に感謝することの大切さをこれからも伝えていきたい」と力を込めた。 この日はウクレレ演奏や島唄遊びもあり、同郷の参加者が思い出話に花を咲かせながら親睦を深めた。