貯蓄「2000万円」あっても、老後「18~19年」で底を尽きる!? 平均支出をもとに試算
かつて、「老後2000万円問題」が世間をにぎわせました。年金だけでは生活費などをまかなえず、老後の生活を維持するには貯蓄が2000万円は必要であるというものです。かつて話題となったとはいっても、それから年金支給額が増えたわけでもなく、この問題はこの先も誰もが無視できないものとなっています。 今回は、実際に65歳時点で貯蓄が2000万円ある場合、何歳くらいまで問題なく生活できそうかということについて考えてみましょう。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
65歳以上の世帯の収入と支出
生活水準は人や世帯ごとに異なりますが、ここでは総務省統計局実施の「家計調査」から、一般的な高齢者世帯の消費支出額を参考とします。令和4年の同調査結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均消費支出額は、月あたり約23万7000円でした。それに対して収入は約24万7000円となっています。可処分所得は約21万4000円のため、毎月2万円以上の赤字となる計算です。 同調査結果をみると、世帯主が65歳以上で2人以上の世帯の持ち家率は90%を超えています。65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出のうち、住居費が約1万6000円という低い金額になっているのは、このためです。持ち家ではなく賃貸住宅に住んでいる世帯では、毎月の支出額が30万円前後となるケースも珍しくはないでしょう。
貯蓄2000万円が底を尽きるまでの年数
ここでは、65歳以降、賃貸住宅に住んでいると仮定して、貯蓄2000万円が底を尽きるまでの年数を概算してみましょう。毎月の可処分所得を21万円、消費支出額を30万円とした場合、赤字額は月あたり9万円です。年間では108万円となります。このペースで不足分が積み上がると、2000万円に到達するまでにかかる年数は18~19年ほどとなる計算です。 このままでは20年を待たずして、貯蓄2000万円はなくなってしまうでしょう。65歳から20年弱なので、85歳になるまでに貯蓄が底を尽きることになります。仮に病気の治療や引越し、家電などの買い替え、子どもや孫などへお小遣いを渡すなどの出費が重なれば、さらに早い段階で貯蓄2000万円が尽きるおそれもあります。 なお「令和4年簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.05歳、女性で87.09歳です。何歳まで生きるかはわかりませんが、85歳であれば特別に「長生き」というほどでもなく、まだ人生が続く可能性も決して低くはありません。