2023年の落とし物数は「物品」約2979万点、「現金」約228億円で過去最多…拾得後の対応しだいで「懲役」も!?
ネコババした場合、問われる罪
ところで、もし落とし物、例えば現金の入った財布を届け出ず、「ネコババ」したらどうなるのか…。 まず考えられるのが「遺失物等横領罪」だ。遺失物その他占有を離れた他人の物を横領する犯罪(刑法第254条)で、「占有離脱物横領罪」とも呼ばれる。刑罰は、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくは科料」となっている。最長で1年の懲役刑もあり得ることを考えれば、決しては軽くないといえる。 ネコババをして、窃盗罪(刑法235条)に問われるケースもある。たとえば、財布を落としたのを目撃し、落とし主がその場を離れていないのに落とし主に指摘せず、自分のものにした場合だ。また、ショッピングセンター等で施設内の落とし物をネコババした場合は、物の占有は施設管理者にあるので、窃盗罪が成立する。 上記の遺失物等横領罪との違いは、他者の占有を離れている物か否かにある。占有を離れている場合は遺失物等横領罪となり、占有を離れていない場合は窃盗罪が成立する。 窃盗罪になれば、罪は「「10年以下の懲役または50万円の罰金」。最長で10年の懲役刑となることからも、罪の重さがわかるだろう。
落とし物をして困っている人を助けたら
最後に、もし落とし物をして困っている人を目にして、助けたらどうなるのか。ある医師が電車内で財布を落として困り果てている高校生を目にし、名前も告げず6万円を貸した。2019年に沖縄で実際にあった話だ。 その後、医師の連絡先を知らない高校生が地元紙の取材を受け、お金を返したい旨を述べた。メッセージはネットニュースも手伝って医師の耳に届き、6万円は返金され、落とした財布も発見されて6万円も手つかずで戻った。 この話は中学3年生の道徳の教科書に掲載され、3月にその内容が文科省の検定を通過し、2025年春から使用される。
弁護士JP編集部