2023年の落とし物数は「物品」約2979万点、「現金」約228億円で過去最多…拾得後の対応しだいで「懲役」も!?
落とし物を拾った人の権利
落とし物を拾うと、その人に遺失物法によって、次のような権利が認められる。 (1)逸失者に法労金を請求する権利 (2)逸失者が見つからなかった場合、物件を受け取る権利 (3)物件の提出・保管に要した費用を請求する権利 (1)(2)はなんとなく知っている人もいるかもしれない。正確には、(1)は落とし主が見つかった場合にお礼として法労金を受け取ることができるというもの(遺失物法28条1項)。金額の幅も定められており、5%~20%となっている。例えば現金100万円を拾って、持ち主が現れた場合、最大で20万円の法労金を受け取れる可能性もある。 (2)は、落とし主が見つからなければ、拾った人がその所有権を取得するというもの。警察が落とし主を探し始めて3か月が経過して見つからなかった場合、所有権が移転する。それまでは6か月だったが、平成18年の法改正で半分に短縮された。 なお、この時重要になるのが、「取得物件預かり書」。ここに記載された引き取り期間が期限となる。引き取り期間は2か月で、それを過ぎると所有権は都道府県に帰属する(遺失物法36条)。 (3)は意外に知られていないかもしれないが、諸費用の請求を落とし主にできる権利だ。ただし、落とし主が見つからなければ、拾った人が警察署が保管に要した諸費用を負担することもある。
動物は届け出義務なし
ちなみに、2023年度に約2万5500点あった「動物」については、遺失物法4条1項および2項の規定は適用されない(遺失物法4条3項)。動物を拾得した場合は都道府県などに引き取りを求めることができる(動物愛護法35条3項)。そのため、警察署や施設への届け出義務はない。 とはいえ、実際に警察署に届け出られているように、受け取ってはもらえる。また、拾った人が希望すれば、3か月たっても飼い主が見つからなければ、その所有権を取得できる。 落とし物については、前述の通り、遺失届のオンライン提出、拾得物情報の全国一括検索等を可能とするシステムがかなり拡充されており、落とし物を拾った人もしくは落とした人はまず、警察庁HPの落とし物の届出・検索のページ(https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/ishitsubutsu/ishitsu-todokedekensaku.html)へアプローチするのが最善かもしれない。