なんだこの緊張感! 「動物系の商品は出回っている、それなら…」 SNSで話題〝マタギ〟のガチャ
秋田まで取材、メイキング動画も制作
マタギの商品化が決まり、文献など調べ ていくうちに、坂本さんは「これはマタギに対して、生半可な気持ちじゃだめだ。取材が必要だ」と思い、成田さんに「マタギの取材をさせてもらおう」と 打診をしました。その結果、マタギの取材が決まり、武笠さんと坂本さん、福元さんの3人で秋田県阿仁地方まで取材に行ったのです。わざわざガチャガチャを作るために、取材をOKした成田さんの気合を感じました。 またガチャガチャ業界では考えられませんが、タマキューはその取材のメイキング動画(YouTube)まで作ってしまいました。その動画を拝見しましたが、まるでTVの旅番組のようにクオリティーの高い仕上がりで思わず笑ってしまいます。 取材では、武笠さんたちはマタギ資料館を訪れたほか、現役の阿仁マタギの鈴木英雄さんにお話を聞いたそうです。取材を通じて、坂本さんはマタギの道具や毛皮などのデティールなど分かったことが多くあり、「マタギについて、漠然とした厳しいイメージでしたが、取材したことで暮らしに根付いたものや、命と自然と向き合って暮らしている人間の姿を見ることができて良かった」と真面目にコメントしてくれました。
5種類それぞれ、年齢や性格の違いを設定
本気の取材を行った結果、誕生したのは、マタギのシカリ(リーダー)、シロビレ(猟銃)、シロビレ(猟銃)構え、タテ構え、解体(マタギ犬付属)の5種類のポーズ。 手に取って見てみると、「これが本当にガチャガチャ?」と思ってしまうくらい、とにかく造形が深く、細かな塗装になっていることに驚かされます。原型制作を担当した福元さんは取材を活かし、一人ひとりの年齢や性格も考え、設定を作りながら作ったそうです。そのため5人とも顔が違うことにしびれます。 シロビレ(猟銃)構えについては、言わなければ誰も気づかない箇所があります。それは銃口が載せやすいように棒の先がえぐってあること。武笠さんは「写真だけではわかりませんでした。銃口をおいて安定させるため棒の先がえぐってあります。これは実物を見なかったらわからない部分でした」と言います。私は「ここまでこだわるのか」と思わずうなってしまいました。 マタギは発売後、タマキュー史上一番のスピードで完売が続出し、再販に至りました。またXでは購入者の反応がタマキューのなかで一番良かったと言います。 マタギの反響について、「もともと持っていたマタギのポテンシャルに誰も気づいていなかったかもしれません。ガチャガチャをきっかけに阿仁マタギの文化や風土に興味を持ってもらえると嬉しいです。ただし、開発コストがめちゃくちゃかかっています。再販は決まっていますが、再販してもまだ足りないくらいです。一人でも多くの人に買ってほしいです(笑)」(武笠さん)