『猿の惑星』“猿の顔のCG”を手掛けたのは日本人だった! 『GotG3』ロケットも担当
『猿の惑星』シリーズの完全新作となる映画『猿の惑星/キングダム』が現在公開中。主人公のノアをはじめ登場するほとんどのキャラクターが“猿”である本作は、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』や『ロード・オブ・ザ・リング』など超大作を手掛けてきた世界最高峰のVFX スタジオ「WETA デジタル」で活躍する日本人、ヤブ・ヒロユキがメインキャラクターのフェイシャルアニメーションを手掛けている。 【写真】心揺さぶられる表情 ヤブ・ヒロユキが手掛けた『猿の惑星/キングダム』主人公ノア 本作は、現在から300年後、支配者が人間から猿へと移り変わった衝撃的な世界を舞台に、猿と人間の“共存”か人間の“絶滅”かをかけた<猿&人間>VS<猿>の新たなる衝突がこれまでにない圧倒的なスケールで描かれるシリーズ最新作。 本作の映像作りを手掛けるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでアカデミー賞視覚効果賞を受賞したことを皮切りに、『キング・コング』や『アバター』でも次々と同賞を受賞し、その評価を高めてきた「WETA デジタル」。 ヤブは、そんな「WETA」の一員として『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の毒舌なアライグマ、ロケットや『アベンジャーズ/エンドゲーム』の最凶最悪のラスボス、サノス、『アンブレラ・アカデミー』のチンパンジー、ポゴなど物語を動かす主要キャラクターのアニメーションを任されてきた。 ヤブがこれまでの制作で一貫して徹底しているのは、“キャラクターの心情に寄り添った映像作り”だそう。「映像や音声を繰り返し聞いて、声のトーンや息遣いから役者さんがどういう気持ちで何を考えてセリフを発しているのかを自分なりに細かく分解して、まず自分が納得できる心理や思考にたどり着く事から始めています」と映像作りの根底を明かした。 単に役者の演技に合わせて表情を付けるのではなく、情景やキャラクターの置かれた環境、会話の相手などあらゆる条件から心情を読み取り際立たせることでCGの中でも生き生きとしたキャラクターが生まれるのだという。 全世界8億ドル超えの大ヒットを見せた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』では「ロケットが『逃げるのは終わりだ』と言い仲間と反撃にでるショットを担当しましたが、この時は“逃げていた自分”から“立ち向かう自分”に変化する瞬間だと解釈し、それまでいつでも逃げられるように体を斜めに向けていた姿勢だったのを自分の問題にまっすぐ向き合うように胸を張り正面を向く姿勢に変えて描くなど、感情から派生して動きのアイデアを起こしました」と役者がいない場合も“感情”を読み取る作業がキャラクターを描く上でのヒントになっていたと明かしている。 人類と猿の立場が完全に逆転し、猿が独裁支配する衝撃的な世界で、秘密を抱えた人間ノヴァと若き猿ノアが、世界を変えるため猿の独裁に共に立ち向かう本作では、“感情”を揺さぶるエモーショナルなシーンが多数描かれる。 ヤブはその中の一番の見どころについて「ノアが家族を奪われ悲しみに暮れるシーンは最も力を入れました。感情があふれ出るショットなので難易度が高いのに加えて、30秒近く尺があるので役者さんの演技や細かい震える動作までとても気を使いながら表現しました」と冷酷な独裁者によって平和な日常を奪われた主人公ノアの心情に迫るシーンに言及。 徹底してキャラクターの心情に寄り添うヤブが主人公ノアの感情をどのように表情しているのか注目だ。 映画『猿の惑星/キングダム』は現在公開中。