【公務員OBが解説】公務員の退職金は平均「2000万円超え」は本当?会社員と比較してみた!年金の平均受給額も一覧でチェック
国家公務員の退職金は平均でいくらか
人事院が令和5年12月に公表した最新の「退職手当の支給状況」によれば、国家公務員の退職金の平均額は以下のとおりです。 国家公務員の退職金の平均は1000万円を超えています。 特に定年退職や早期退職は2000万円以上が支給されており、金額の高さに驚く人もいるのではないでしょうか。 自己都合退職と定年・早期退職での支給額には大きな差があることがわかります。 ただし、実際は税金や社会保険料が差し引かれ、手元に残る金額はいくらか少なくなります。 日本の所得税は累進課税制度を採用しているため、退職金支給額が増えるほど税額も多くなります。
国家公務員の「勤続年数」による退職金の違い
次に、国家公務員の勤続年数による退職金の違いを比較してみましょう。 定年退職した場合の退職金の平均支給額を勤続年数別にまとめると、以下のとおりになります。 勤続年数が長いほど、受け取れる退職金が増える結果となりました。 一般行政職である行政職俸給表(一)適用者でも、勤続年数15年以上で1000万円、30年以上で2000万円の退職金を受け取れます。 なお、勤続年数40年以上の人が35年~39年より退職金額が少ないのは、高卒・大卒の違いによるものと考えられます。 また「早期退職」「自己都合」といった退職理由の違いによっても、受け取れる退職金額は変わります。
会社員と公務員の退職金を比較
では、会社員と公務員とでは退職金額にどれくらいの差があるのでしょうか。会社員と公務員の退職金額を比較してみましょう。 国家公務員の退職金を上回れるのは、大企業に勤めた会社員のみです。 中小企業の平均退職金額は国家公務員のものと比べると、約800万円から1200万円の差がありました。 今後は物価上昇により、金額だけ見ればさらに多くの退職金が支給される可能性があります。 しかし、退職金の実質的な価値は、今までより下がっていることもあり得るでしょう。
会社員と公務員の「年金額」を比較
会社員と公務員とでは、受け取れる年金額に違いはあるのでしょうか。 会社員と公務員の年金額を比較してみましょう。 厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」によれば、会社員と公務員の毎月の平均年金受給額は、以下のとおりです。 ・会社員:15万1083円(国民年金+厚生年金) ・公務員:13万522円(国民年金除く) 同調査では公務員の年金額は厚生年金のみで平均額を算出しているため、国民年金分を足せば1万円~1万5000円程度金額が上昇すると考えられます。 この時点では両者に明確な差はありません。しかし、公務員には年金払い退職給付が退職後に支給されます。よって、年金額は会社員より増えると考えられます。 年金払い退職給付とは、自身で掛金を積み立てて退職時に給付を受ける、公務員版の企業年金のようなものです。 2015年9月まで支給されていた共済年金の職域年金に相当します。 地方公務員共済組合連合会では、2015年10月時点で40歳だった人が20年間退職給付を積み立てると、将来月額1万258円の給付を受け取れるとの試算を公表しています。 上記の調査結果に国民年金と年金払い退職給付を合わせると、2万円~3万円程度上乗せされます。 よって、公務員は会社員よりも1万円ほど多く年金を受け取れるといえるでしょう。 次章では、元公務員の筆者が「公務員の資産づくり」について解説していきます。