能登半島地震 「状況の変化に応じて支援することが大事」 佐々木俊尚が指摘
能登半島には幹線道路が1本しかなく「くしの歯作戦」が十分に発揮できない
佐々木)大変なのは、孤立集落をどうするかという問題です。いわゆる「くしの歯作戦」と言われる方法があります。太い動脈の部分から少しずつ道を切り開き、くしの歯が入るように孤立集落に達していく。東日本大震災の際、三陸でやったことと同じです。いま思い返すと、あのときも3月11日に津波が仙台平野を襲っている映像をNHKが空撮で取り、それが拡散されて「大変だ」という話になりましたが、当初、岩手・三陸の話はまったく出てこなかったのです。「岩手ではあまり被害が出ていないのでは」ぐらいの認識でした。 飯田)確かにそうですね。気仙沼でガスボンベが燃えている映像は出ましたが。 佐々木)通信が途絶していたので、せいぜい陸前高田、気仙沼ぐらいまでの情報しかなかった。全容がわかってきたのは1週間くらい経ってからでした。しかも三陸には幹線道路がきておらず、太い東北道から細い道路が1本ずつ入江に向かってつながっている感じだったから……。 飯田)海沿いの国道45号は、いたるところで寸断されていました。 佐々木)今回はそれと似た状況です。違うのは、東北は本州なので幅が広い東北自動車道が走っており、そこを緊急車両が通過できた。 飯田)緊急車両に限定していましたからね。 佐々木)ところが、能登には幹線道路が国道249号しかないので、くしの歯作戦がスムーズに進まない問題があります。そのような困難なところで、自衛隊含め警察・消防も一生懸命よくやっているなと思います。 飯田)今後は民生支援や感染症対策など、また状況が移っていきますね。 佐々木)交通状況がよくなれば、今後は個人ボランティアも受け入れるようになると思います。土砂を排除したり、建物を直すようなフェーズに入っていくのではないでしょうか。