石破首相ら退陣求める声も 惨敗衆院選総括の会で身内から怒り噴出 党は落選者にも説明へ
自民党は7日、議席を大きく減らして少数与党に転落するきっかけとなった先月の衆院選を総括する両院議員懇談会を、党本部で開いた。衆院選後、初めて所属議員や新人議員らが顔をそろえたが、出席した議員によると、総裁の石破茂首相や森山裕幹事長ら執行部に「時期を見極めて辞任すべきだ」とする声が上がり、複数の議員が執行部の責任論に同調したという。 会は報道陣に非公開で実施された。執行部への不信感が表面化し「つるし上げ」の様相で重苦しい空気が漂う中、当初予定の2時間を1時間以上オーバーし、60人前後が意見を述べた。 自民党は今回、派閥裏金事件に対する逆風下での衆院選となり、加えて、裏金問題で公認を得られず無所属で選挙を戦った萩生田光一・元政調会長らに、正式な公認候補と同額の2000万円が活動費として党側から振り込まれたことが、投開票日5日前に「しんぶん赤旗」の報道で表面化。党は「党勢拡大のため」と主張したが、火に油を注ぐ形となり、公示前から56議席減の惨敗となった。 報道陣に公開されたあいさつで、石破首相は、多くの候補が落選したことを「誠に痛恨の極みだ」と述べ「私に足らざることは多々あった。国民のみなさまの期待に十分応えられず、私自身深く反省し、おわびをしなければならない。誠に申し訳ございません」と謝罪。2000万円支給の責任が問われる森山幹事長も「強く責任を感じている」と、終始うつむきながら語った。 出席した議員によると、落選した候補の声を聞く場が設けられていないことを批判する声も噴出し、これを受け、執行部は落選者を対象とした説明会開催に応じる考えを示したという。また「2000万円問題で最後の2日間で風向きが変わった」として執行部の見解を問う意見のほか、比例代表で前回2021年衆院選から約530万票も減らしたことを踏まえ、来夏の参院選に向けた態勢立て直しを強く求める声も出たという。 2000万円支給問題では、支給が決まった経緯を明らかにすべきとの意見も出たが、森山氏の答えは要領を得なかった、との不満も聞かれた。 「結局はガス抜き」と冷めた意見も出る中、石破首相は「いろんなご意見に謙虚に丁寧に耳を傾ける。お声はけして無駄にしない」と理解を求め、結束を訴えた。ただ、衆院選の結果の責任を取って辞任したのは小泉進次郎選対委員長だけで、執行部の責任論は依然くすぶる。今後開かれる落選者への説明会ではさらに厳しい意見が出る可能性もある。自業自得とはいえ、自民党が衆院選で受けた打撃は収まる気配がない。