浜松国際ピアノコンクール 途中退席のチケットを再販売 初のシェアリングシート「多くのファンに鑑賞の機会を」
6年ぶりの開催で近年になくチケット販売が好調な「第12回浜松国際ピアノコンクール」(浜松市、市文化振興財団主催、静岡新聞社・静岡放送後援)では今回初めて、「シェアリングシート」と名付けた追加当日券の販売の仕組みを導入した。できるだけ多くのファンに鑑賞の機会を提供し、出場者の演奏環境の向上につながっている。 当日のチケットが完売している状況で、来場者が個別の事情で途中退席し、再入場しない枠を別の希望者に譲る仕組み。会場出口でチケットか代用のハート形の札を置いた分を追加当日券として割り当てる。19、20両日の3次予選まで実施する。既に日程を終えた1、2次予選では50枚ほどが活用された日もあった。 市文化振興財団によると、今回は1次予選を含めてチケット販売が好調に推移した。3年に一度の開催で、前回がコロナ禍で中止となったことが盛況の一因とみられる。回を重ねるごとに認知度が高まり、恩田陸さんの直木賞小説「蜜蜂と遠雷」のモデルになったことでも知名度を上げた。 シェアリングシートの取り組みは、同財団の事業で初の試み。当日のチケットが完売していないと成立せず、長時間の催しでなければ途中退席が見込めないといった制約がある。1次予選は5日間のうち4日が午前10時半から午後8時半までと、長丁場の同コンクールに適合した形だ。出場者からは「予選段階でたくさんの人に聴いてもらえてうれしい」という声もあったという。 同財団の後藤康志文化事業課長(53)は「今回は試行的に取り入れたが、お客さんが席を活用しあうことで空席をつくらず、出場者のために役立てたいという気持ちを感じている。状況を分析し、次回の運用を考えたい」と話した。
静岡新聞社