ゴルフ雑誌発漫画、異例のヒットからアニメ化 「オーイ!とんぼ」 続編映像化に期待の声
テレビ東京で毎週土曜午前10時から放送中のゴルフアニメ「オーイ!とんぼ」の第2期放送が佳境を迎えている。「週刊ゴルフダイジェスト」で連載中の漫画が原作で、両親を失った少女が鹿児島県の離島で育ち、ゴルフを通じて成長していく物語。原作は連載が10年以上続き、単行本は現在53巻まで出版されており、発行部数は230万部超えとゴルフ雑誌発の漫画としてとしては珍しいヒット作となっている。アニメ化には競合他社の大手出版社が関わるなど、異例尽くしの作品となっており、シリーズ続編の放映が期待されている。 【写真】「オーイ!とんぼ」のアニメ化に尽力した小学館ミュージック&デジタル エンタテイメントの久保雅一社長 「この漫画をアニメにしたい」 平成30年7月、ゴルフダイジェスト社の電話が鳴った。電話の主は小学館ミュージック&デジタル エンタテイメントの久保雅一社長(当時は小学館集英社プロダクション取締役)だった。「営業担当が電話を受け、社内が騒然となった」と、原作の編集担当・笠原誠さんは振り返る。 ■少女の成長に読者は涙 漫画「オーイ!とんぼ」は「巨人の星」の川崎のぼるさんを父に持つかわさき健さんが原作、「たいまんぶるうす」などの古沢優さんが作画を務める。元プロゴルファーの男性(五十嵐)が挫折して訪れた鹿児島県の離島の「吐噶喇(トカラ)列島」で、父親の形見の「3番アイアン」だけでゴルフを始めた少女「とんぼ」と出会う物語。型にはまらないとんぼのゴルフは出会うライバルたちにも大きな影響を与える。とんぼが島民に愛されながら育ち、巣立っていく姿は読者の涙を誘う。 ■ヒットメーカーが見出した〝勝算〟 久保社長は小学館の編集者としてコロコロコミックの「おぼっちゃまくん」を担当。映像作品では人気ゲーム「ポケットモンスター」のアニメや映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなども手掛けたヒットメーカーだ。アニメの業界団体「日本動画協会」の理事を務める久保社長は、小学館のパーティーで「他社作品の映像化も支援したほうがいい」とアドバイスを受け、他社作品のアニメを企画しており、「オーイ!とんぼ」に白羽の矢を立てたのだった。 久保社長はアニメ化プロジェクトのメンバーだった女性社員に「とんぼ」を勧めたところ、この女性社員は翌日、「泣きなら読みました」と答えた。数々のヒット作を生み出してきた久保社長にとって名作の条件は「女性の支持」。久保社長は「ゴルフ愛好家の男性層は原作ですでにファンになっている。あとは女性と子供が『みんなで応援したい』と思うかどうかだった」と手ごたえを感じたという。