ゴルフ雑誌発漫画、異例のヒットからアニメ化 「オーイ!とんぼ」 続編映像化に期待の声
■紆余曲折もアニメにこだわり
この女性社員はゴルフダイジェスト社へのプレゼンを担当。号泣しながら映像化にかける思いをアピールしたという。前例のないプロジェクトで、準備に約1年かかった。そこへ新型コロナウイルス禍が直撃し企画が停滞。他社作品の映像化に対する反発など、難航を極めたが、制作陣の熱意が勝った。
出来上がったアニメはこだわりの詰まったものとなった。劇中音楽はポケモンシリーズの映画スタッフが担当。10台以上のバイオリンを使って同時演奏で録音した。「音は後から重ねることもできるが、臨場感を大切にしたかった。ゴルフにあるさまざまな音を伝えたかった」と久保社長。
ゴルフ場や島の背景も3次元(3D)モデルで作成し、開放感のある映像表現が可能となった。スポンサー集めも、久保社長ととんぼファンのゴルフ関係者らが奔走し、2期目までの放映にめどが立った。
今年4~6月までの第1期は、とんぼが五十嵐と出会い、島を出る決心をするまでのストーリーだった。10月から放送中の第2期は、九州女子選手権が舞台。初めて他人と競う経験をして成長するとんぼとさまざまな背景を持ちながらゴルフに情熱を燃やすライバルたちとの戦いを描いた。第2期はまもなく地上波で大詰めを迎えるが、動画配信サイトなどでも視聴することができる。
久保社長は「ゴルフダイジェスト社の関係者と会って、『とんぼ』が多くの人に大事にされている作品と感じた」と話す。原作ではこの後、とんぼが国内外のライバルと切磋琢磨し、舞台を国内から海外へと広げていく。第3期以降もアニメ化されるかが注目されそうだ。(高木克聡)