『怪獣8号』インタビュー!福西勝也×瀬戸麻沙美×加藤渉が語るアフレコ裏話「1話の収録が終わった後に原作の松本先生から…」
◆ちなみに、カフカと怪獣8号とでお芝居に変化はつけているのでしょうか? 福西:それは全くありません。私も当初はいろいろ準備をしていたのですが、変えずにそのまま演じてほしいというディレクションがあったので。オーディションの時から一貫して一本の軸で、声も感情も何も変えずに演じています。とはいえ音声に加工が入るのでハッキリめにしゃべったり、口の大きさを意識したりなど、ちょっとした工夫はしていました。 加藤:カフカはてらいなく真っすぐに言葉を吐けるところがいいですよね。福西さんのお芝居も、“演じている感”がないんです。くさいようなことも、恥ずかしげもなくそのまま言うので、僕もレノとして「また言ってるよ、この先輩は」みたいな、心からのリアクションができる。それがありがたいです。 瀬戸:カフカって人間関係の経験値があって。何か言葉に出す前に考えて、飲み込んだり、かみ砕いたりもちゃんとできる人ですよね。年の功と、あとは劣等感があるからなんですかね。福西さんはカフカの熱さだけでなく、そういう情けなさも緩急をつけて演じてらっしゃって。カフカの人のよさが福西さんのお芝居によってより出ているように感じます。 福西:ありがとうございます! 瀬戸:そんなカフカから見ると、ミナはもともと幼なじみではありますが、今は距離が開いて手の届かない遠いところにいて。みんなのヒーローとして象徴的な存在になっている。彼女の本意はどこにあるのか。なかなかそれを出さないので、心配になってしまうほどです。でもきっと、隊長としてしっかりしていなければいけないという葛藤を乗り越えた先にいるのかなと感じました。ミナって相手が上の人でも下の人でも態度が変わることはないのですが、状況に応じて的確な指示出しをする必要があるので、その時の言い方には緊張感も出るんじゃないかと。自分の発言が周りに影響を与える立場の人なので。そこはミナ自身も気をつけているでしょうから、私自身もそうするようにしています。 加藤:レノとして気をつけているのは、“必死である”ということです。レノはその場その場で必死な人なので、成長したと感じても余裕を感じさせるような芝居はしないでほしいです、というようなディレクションを頂いて。確かにそうだよなと。演じていると気持ちが入ってどうしても成長を出したくなってしまうので、そこは抑えるようにしています。あと、これは途中で気づいたことなのですが。世の中にはカフカのように、誰かのために命を張れる人というのがいて。でも、自分の身を犠牲にしてしまうわけで、レノはそれが許せないのではないか。だからこそ、誰かのために命を張れる人を守れる人になりたいのではないか。そういう解釈が僕の中で生まれたんです。詳しくはまだ言えませんが、レノがある重大な佳境を迎えるシーンの前にそのことに気づいて収録に臨めたので、いい経験になりました。 ◆Production I.Gによるアニメーション、スタジオカラーによる怪獣デザイン&ワークスも話題になっています。 福西:ティザーPVからしてすさまじかったですよね。しゃぶり尽くすように何度も繰り返し見て、気分を高めていました。多分、日本で一番見たのは私でしょうね。自信があります(笑)。音楽が流れて、街並みが映り、カフカの後ろ姿、それが怪獣8号の後ろ姿になって、こちらを振り向くという。あの音楽の躍動感、背景美術の素晴らしさ。そして怪獣8号の、ただ振り向くのではなく、こうぐるっと…。 加藤:生き物感がね。 福西:そうそう。生き物感ある動きがその後のPVや本編にも一貫してあって。クリエーターの皆さんのこだわりの強さが出ていましたよね。 瀬戸:怪獣8号に限らずどの怪獣の動きも、リアルな世界にはいるわけない異質な存在なのに、本当にいそうな生々しさがありますよね。でも、死んでしまうと街のただの邪魔者みたいになってしまう。その差にもインパクトがありました。 加藤:僕は「外連味」って言葉が好きなんですけど。 福西:分かる! 瀬戸:分かるんかい(笑)。 加藤:I.Gさんならではの写実的な表現。それが『怪獣8号』でもたくさんありつつ、怪獣という非現実的な存在の外連味みたいなもののメリハリの利いた表現もされているのが素晴らしいなと。怪獣8号で言うと、体が発光しますよね。その表現にアニメ的な面白さが垣間見られるというか。アクションの見映えやカッコよさを底上げてしてくれているように感じます。 福西:私も怪獣8号のあのビジュアルが本当に大好きで! カッコよさもあり、怖さもあり、かわいさもあり。原作を読んだ時から絶妙なデザインだなという印象がありましたが、アニメになると表情もより豊かになって。最初に設定画を頂いて、それも基に演じたので、自分の声の表情にもそれが出ているのではないかと思います。やっぱりビジュアルの力というのは大きくて、演じ方も変わってくるんですよね。怪獣8号の稲光るようなパンチのシーンも、PV用に先に映像ができ上がっていたので、収録の前に見せていただいたんです。“この映像に負けない声を出すぞ!と、より気合が入りました。
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