『怪獣8号』インタビュー!福西勝也×瀬戸麻沙美×加藤渉が語るアフレコ裏話「1話の収録が終わった後に原作の松本先生から…」
◆松本先生はアフレコを現場でチェックされているそうですね。 福西:そうなんです。今でも鮮明に思い出せるんですけど。最初、収録が始まるときにまずご挨拶させていただいて。で、1話の収録が終わった後に松本先生から「カフカそのものでした」という言葉を頂いたんです。 加藤:うれしいよね。 福西:そ、そ、そんな…! みたいな(笑)。この作品を0から生み出した方にそんなありがたい言葉を頂けるなんて。それ以上のうれしさはありません。何物にも替え難い幸せです。自分の用意してきたプランに自信を持てました。その後もお忙しい中、毎回アフレコに来てくださって。「その服、いいですね」みたいなたわいもない話から、「このせりふなんですけど…」みたいな作劇上の話まで、親身に聞いてくださるんです。おかげで不安は全て払拭されました。 瀬戸:松本先生が直接ご覧になってOKを出してくださったという安心感がありますよね。私たちだけでなく、監督やディレクターともみんなで話して相談し合っていて。アフレコブース側からそれを見ていると、風通しのいい作品作りができているように感じます。リテイクを求められた時も、こうした方がいいよねってまさに今、裏で相談が行われていたんだろうな、もしかして松本先生のご意見なのかなとか、勝手に想像しています(笑)。 加藤:僕は、アフレコのタイミングでは、原作でもレノのバックボーンが明らかにはなっていなかったので、自分で想像して、台本の余白に書き連ねていたんです。 福西:履歴書みたいにね。 加藤:そう。レノはきっとこういうことがあったから、カフカへの反応がこうなるんじゃないか、とか。そんな話をスタジオのロビーで福西さんとしていたら、ちょうど松本先生がいらっしゃって。恐れ多くも僕のメモを見ていただいたんです。 福西:ひゃー! ってなったよね(笑)。 加藤:僕はこういう解釈でレノという役を作っているんですけど、どうでしょうかと。そしたら、「いいですね」みたいに、さらっと流すわけでもなく、でも実はレノってこうこうこうで…って、まだ開示されていない情報を教えてくださったんです。僕の想像と一致していたわけではないですけど、軸の部分は一致していたんです。考えれば考えるだけ報われることもあるんだなと。そういうディスカッションができた時間もそうですが、松本先生のおかげで作品に対して建設的な行為を自分ができているんだなという心持ちを感じられたのも幸せでした。 ◆実際ご自身の役についてはどう捉え、どんなところを意識して演じてらっしゃいますか? 福西:原作を読んだ当初から印象としてずっとあるのは、みんなが好きになる主人公ですよね。主人公がおじさんというシンプルな属性だけ見ても、少年漫画では斬新で面白いですし。おじさんの主人公はどちらかというとカッコよさや渋さがフィーチャーされがちな中で、カフカは情けないし、泥臭い。だからこそ私は好きになりましたし、みんなが好きになるよねっていう。そこから読み進めていくと、意外と自分との共通点がちょいちょいあって。感情に素直なところだったり、家に帰って落ち込んでもフラットに戻して、次の日に人と会うとリセットできているところだったり。あとはアゴヒゲですね。実は私、高校生のときからたくわえているので運命を感じました(笑)。なので声帯的にも、感情的にも、自然な領域でお芝居をしています。
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