どうなるNext GIGA【2】課題山積で国の目標達成は短期間では困難
GIGAスクール構想の第2期となる「Next GIGA」が始まる。これまでの成果と課題をデータで検証し、国の施策を含めた最新動向を解説する。 【すべての図版を見る】 * * * 2024年8月29日、文部科学大臣、総務大臣、デジタル大臣の連名で「学校のネットワークの改善に向けた取組について(要請)」という文書が出された。宛先は電気通信事業者協会など通信サービス関連の業界4団体。 文書では「地方公共団体・教育委員会において学校規模等に対応した広帯域の通信サービスが適切に選択できるよう、御協力をお願いします」と要請している。3大臣の連名でこうした要請をするのは異例だ。 その背景には、学校のネットワーク、特にインターネット回線の帯域不足がある。いまさら言うまでもなく、GIGAスクール構想のキモは1人1台端末だけでなく、それとセットとなる高速なネットワークだ。デジタル学習環境はクラウドサービス利用が原則で、高速なネットワークがなければ効果は半減する。 児童・生徒に端末が行き渡ったことで、既に「ネットが遅い」という不満が出始めている。今後は、その状況がさらに悪化することが予想される(図1)。 というのも、全国学力・学習状況調査(学調)の教科調査が2025年度から順次CBT(端末で受けるテスト)化され、2027年度(令和9年度)には全面移行する。学年全員が端末でテストを受ければ、ネットワークに大きな負荷が掛かる可能性が高い。 現時点でさえ、学校規模ごとに算出した「当面の推奨帯域」を満たさない学校は8割近くに上る。しかも、規模が大きくなるほど推奨帯域を満たす学校の割合は低下し、児童・生徒数が数百人以上の学校では数%~10%以下しかない。 この状況を改善するため、国は2025年度(令和7年度)に、ネットワークアセスメントの実施、その結果に基づくネット環境の改善、インターネット接続回線の契約切り替えにかかる初期費用について、自治体を対象に3分の1の割合で補助する計画だ。国のKPIでは、通信速度を確保済みの学校を2025年度までに100%にするとしているが、達成は難しいのではないか。