どうなるNext GIGA【2】課題山積で国の目標達成は短期間では困難
全般的に残る地域格差
学調の結果によると、ICT機器を「ほぼ毎日使う」と「週3回以上使う」を合わせると、小学校、中学校とも9割を超える(図3)。だが、週に3回使うだけで活用していると言えるのだろうか。当然、学年によって端末の使用頻度は変わるが、子供たちが自律的に使うのなら、基本的に「ほぼ毎日使う」になりそうなものだ。端末の持ち帰り状況はもっと厳しく、今でも「持ち帰らせない」「臨時休業等の非常時のみ」という学校が一定数存在する。 校務DXも、Next GIGAに持ち越された課題の一つ。これについては本誌の前号(No.29)で特集したので詳しくは述べないが、図4のようにデジタル化の現状はお寒い限りだ。教員の働き過ぎが問題になる中、国は高い目標を掲げてはいるものの、実現は見通せていない。 インターネット接続環境、端末活用度、校務DXと課題を挙げてきた。これらの地域間の差が大きいことも問題だ(図5)。差がないのは学習者用端末やデジタル教科書の整備率など、地方自治体に対して国が一律にお金を出した分野ばかり。消極的な自治体の取り組み姿勢には疑問が残る。ネット環境が整った学校で端末を活用して新たな学びに向かう児童・生徒と、そうでない子供たちに分かれるとしたら大きな不幸だ。 初出:2024年10月14日発行「日経パソコン 教育とICT No.30」
文:江口 悦弘=日経パソコン