新機軸の「スピーカー内蔵スクリーン」登場。Bloomsbury.lab製品がホームシアターにもたらすメリットとは?
アバックは、映画館向けの大型スクリーンや音響設備を中心に、家庭用スクリーンも手掛ける韓国のブランド・Bloomsbury.lab(ブルームズベリー ラボ)製品の取り扱いを開始した。 アトモス環境を見た目もスタイリッシュに構築 第1弾製品は、超短焦点プロジェクター専用の耐外光パネルスクリーン。2024年4月初旬から、全国の店舗で順次展示と販売を開始している。ラインナップは102インチ「M-LWO102U」、120インチ「M-LWO120U」の2種で、アバック仕様にカスタマイズされた限定モデルとなる。価格はオープンだが、M-LWO102Uは492,800円、M-LWO120Uは646,000円前後での実売が予想される(どちらも税込)。 本製品の最大の特長は、パネル内部にアクチュエーターと呼ばれる加振器を備えている点。それらで画面そのものを振動させることでスクリーン本体から音が出るという仕組み。システムは3ch構成のため、スクリーンを設置するだけでフロントLRおよびセンタースピーカーとしても機能する、いわば一体型のスクリーンだ。 このスクリーンの魅力と込められたブランドの想い、そしてシアターづくりの現場を熟知するアバックとのタッグによって実現する新しいホームシアターのスタイルを、Bloomsbury.labブランドの事業開発部CHANWOO BYUN氏と、アバック企画部の関 桂良氏に伺った。 映画館での感動を家庭で再現したい ──はじめにBloomsbury.labブランドについて教えていただけますか? CHANWOO氏(以下:チャヌ氏)我々は2003年に韓国でスタートしたブランドです。劇場用の大型スクリーンを中心に、開発から製造、販売までをおこなっています。韓国では全国にある映画館のうち70%に弊社の製品が入っていて、実は日本でもTOHOシネマズ様にご採用いただいているんですよ。 そういった劇場向けの製品づくりで得られた技術とノウハウを、ホームユースの製品にも投入しています。「一番好きな映画を映画館で見た時の感動を、みんなが家でも感じられるスクリーン」の開発が、弊社のモットーの一つです。 ──M-LWO102UおよびM-LWO120Uはホームユースの製品ですね。具体的にはどのような製品なのでしょう? チャヌ氏:最大の特長は、やはり音が出るスクリーンであるという点ですね。スクリーンの内部にあるアクチュエーターがパネルを叩いて、その振動で音が出るという設計です。 これによって得られるメリットは大きく二つあります。一つめは、画の中の音源と実際の聴感の音源が一致するため、没入感が違います。画面そのものから音が出るので、定位感が抜群によく、大画面と合わさって映像体験の没入感がぐっとアップするんです。また画面から常に一定の音が出るというわけではなく、いわゆる立体音響のように音の位置を変化させることもできます。 このスタイルは従来のサウンドスクリーンを採用し、家庭で再現しようとするとかなりの設備投資が必要になります。しかしM-LWO102U/120Uであれば、スクリーン単体で実現できるんです。 二つめは、視聴者の正面にはスクリーンしかない、映像に集中できる視聴環境を簡単につくれることです。これは設置においてもメリットがあります。 気になる音質は? チャヌ氏:現在ホームシアターといえばスクリーンのまわりにスピーカーを別途用意するスタイルが主流ですが、特にリビングの場合は物を増やすことに抵抗のある方も多くいらっしゃいますよね。 M-LWO102U/120Uは、フロントLRおよびセンタースピーカーがスクリーンと一体化しているため、LCRはスピーカーを別途配置する必要がありません。100インチ超のリビングモニターとして見た目にもすっきりとスタイリングできるよう、製品そのもののデザインにもこだわって仕上げています。 関氏:「お家に映画館をつくる」というのは、多くのシアターファンにとって理想ともいえますよね。映像と音源が一致していて、かつ正面に画面しかない環境で視聴できる。そういった劇場的な要素を、自宅でカジュアルに実現できる、というアイデアがブランドならではと感じています。 先ほどチャヌさんがおっしゃった従来の手法とは、サウンドスクリーンの後ろにパワーのある大きいスピーカーを設置する、といったものです。スクリーン真裏の壁を彫り込むか、スクリーンを前に出して裏に機材スペースをつくる必要があります。100インチ以上の大画面であればなおさら、多くのユーザーにとってコストの懸念はもちろん、プロジェクターの投写距離への影響など、クリアしなければならない課題の多いホームシアタースタイルの一つでした。 仕上がりをここまでスタイリッシュに、かつマンションや既存住宅でもカジュアルに導入できる、というのは、この製品でなければ難しいという気がしています。 ──音の出るスクリーンであるということが、視聴体験や仕上がりの美しさに寄与するだけでなく、シアター導入の難易度を下げてくれるということですね。では、クオリティの視点からはどんな長所があるのでしょうか? チャヌ氏:実は、アクチュエーターを採用したのは音響のクオリティも考慮してのことなんです。 当初はアクチュエーターではなくスピーカーユニットをそのまま内蔵する選択肢もありました。けれど前者を採用したほうが、画面サイズに見合う絶対的な音量を上げることができるだけでなく、音の広がりをより豊かに感じられたんです。 また、フロントLRとセンターを担う3ch仕様は、日本で本製品を発売するにあたり新しく実装したポイントで、世界に先駆けてのお披露目となります。 以前の仕様では2.1chだったところを、アバック様のアドバイスを受けて、センタースピーカーを加えた3chに再設計をおこなったんです。 設計時、個々のアクチュエーターがお互いに影響を及ぼさないようコントロールするのに苦労しました。スリムデザインと両立するねらいもあり、かなり時間をかけて開発をおこなっています。またch数の増加に応じて、高音、中音、低音の分配を決めるクロスオーバー周波数も新たに設定しなおしました。 ──アバックさんからのアドバイスは3chの実装のみだったんでしょうか? 関氏:このスクリーンに、我々の強みであるシアターインストールのテクニックをどうすれば活かしていただけるかと考え、いろいろとリクエストしています。実は何人かで渡韓して、実際に製品を拝見した上でいろいろと検討を進めました。 最終的には本格的なマルチchシステムかつ、電源やケーブル類まできっちり隠蔽したビルトインタイプのシアターが理想と考えています。なので、アンプは非内蔵にして外部AVアンプと接続できる仕様に。また本製品の意匠を最大限活かすため、スピーカーターミナルなどの突起部分は正面から見えないように隠しています。映像音響に関わる部分だけでなく、デザイン性の観点からも変更を加えてから、トレンドの超短焦点プロジェクターと組み合わせる専用の耐外光スクリーンとして仕上げていただきました。 カジュアルに導入できて、リビングの美観を損ねない100インチ超の大画面ホームシアター。ここまではスクリーン単体で実現できますが、我々に預けていただくことで、さらにステップアップして音響のクオリティにもこだわれる。もちろんドルビーアトモスをはじめとする最新の立体音響システムも構築できます。 ──ユーザーの選択肢がぐっと広がる強力なタッグですね。特にリビングに向けた提案ということですが、ほかに有利な点はあるのでしょうか? チャヌ氏:まず102インチや120インチといった大画面は、体験していただければかならず魅力を感じていただけると思います。そしてそのくらいのサイズだと、コストもテレビと比較できるくらいのパッケージになってくるんです。 この耐外光スクリーンでは、昼間の時間帯であったり、照明が点いていたりする環境であっても、きちんと明るい映像が見られますので、ゆくゆくはテレビとの代替を含めてご検討いただけるようにと考えています。 リビングに設置したときの美しさにも注目 チャヌ氏:またこれは普遍的なものですが、“プロジェクターの画”という感性的な魅力もありますよね。韓国では直接光の視聴ではないということから「子どもの目に優しい」、「長時間視聴に向いている」といった理由で導入を決める方もいらっしゃいます。 耐外光スクリーンといえば視野角が弱点といわれがちですが、この製品はかなり広いところまで見られますし、パネルタイプですので、空調などでスクリーンが揺れたりすることもありません。 関氏:店舗で実際にご覧になったお客様はちょっと不思議がる方が多いですね。スクリーンなのにテレビのようだ、とか。 逆にテレビとの相違点を挙げるとしたら、使用していない際に画面に映り込みがないことを喜ばれる方も意外に多くいらっしゃいます。AVアンプの機能を利用して、プロジェクターをつけずにスマホからBluetoothで操作して音楽を流すとか、そういう使いこなしもできますよ。 とはいえリビングではやっぱり仕上がりの美しさに注目いただきたいですね。電源やケーブル類、機器類もビルトインにして視聴方向にはスクリーンとラックだけ、サラウンドも全部埋め込んでしまえば、非常にスタイリッシュなホームシアターが完成します。 さらには画面自体から音が出ることで音場のバランスも非常によくなり、テレビでは得難い大画面と臨場感を実現してくれます。「本格的なサラウンドをリビングで楽しみたい」けれど「見た目もスタイリッシュに、インテリアマッチにもこだわりたい」というユーザーへ向けた新しい提案として、我々も期待をかけています。 ──住環境から導入に迷っているユーザーにはぜひ体験いただきたいですね。ちなみに店舗での視聴イベントなどのご予定はあるのでしょうか? 関氏:アバックの直営店にはすべて入っているので、ご来店いただくだけでいつでも体験が可能です。具体的にはこのアバック新宿と、アバック横浜、アバック名古屋、アバック梅田、アバック福岡、アバック琉球に展示しています(2024年4月時点)。 ホームシアターの醍醐味はもちろん大画面もありますが、より非日常感を味わっていただけるのは音響の方、サラウンドが強いです。ぜひ一度足を運んでみてください。 ──それでは最後にチャヌさんから、日本のシアターユーザーへ向けてメッセージをお願いできますか? チャヌ氏:この製品の音を一度も聴いたことがないお客様はたくさんいらっしゃいますが、一回だけ体験するお客様もいません。一度聴いてみたら、ずっとこれを体験することになるからです。というのが、軽率な言い分かもしれませんが私の見解です。 日本のホームシアターファンの皆様の目と耳を満足させられる製品は、世界の市場と比べても水準が高いです。そういう方々にお見せするものなので、少し心配でありながら期待もしています。もし日本の市場で成功できなければ、弊社はおそらく今後成長できないと思っていますし、逆に成功できれば世界にも通用すると思っています。 そして意外と私、厳しい評価をいただくのが大好きで、もし日本のお客様からフィードバックをいただけるのであれば、肯定的に受け入れて、今後の製品づくりに活かしていく予定です。 私たちはこのブランドと製品を、日本でもずっと長くやっていきたいと考えています。国内で40年の歴史を持つアバック様のお力添えもいただき、これから先10年、100年とご愛顧いただけるよう、取り組んでまいります。 【SPEC】 ■Bloomsbury.lab「M-LWO102U」 ●スクリーンサイズ:102型 ●ゲイン:0.65 ●視野角:70°●アスペクト比:16:9 ●画面サイズ:2,260W×1,270Hmm ●外形寸法:2,300W×1,315H×42Dmm ●質量:23kg ●スピーカー構成:3ch ■Bloomsbury.lab「M-LWO120U」 ●スクリーンサイズ:120型 ●ゲイン:0.65 ●視野角:70°●アスペクト比:16:9 ●画面サイズ:2,630W×1,480Hmm ●外形寸法:2,670W×1,510H×42Dmm ●質量:30kg ●スピーカー構成:3ch ※アンプ非内蔵タイプはアバック店舗でのみ取り扱い 【展示店舗】 ■アバック新宿(102インチを展示) 東京都新宿区西新宿7-5-9ファストリアルタワー新宿3F ■アバック横浜(120インチを展示) 神奈川県横浜市中区長者町3-8-13 TK関内プラザ1F ■アバック名古屋(120インチを展示) 愛知県名古屋市中村区名駅南1丁目11-28 BRIO名南1F ■アバック梅田(120インチを展示) 大阪府大阪市北区太融寺町2-11ジ・アドレス梅田1F ■アバック福岡(120インチ導入予定) 福岡県福岡市博多区綱場町6-2パークレジデンシャル博多1F(2024年4月移転予定) ■アバック琉球(120インチを展示) 沖縄県那覇市旭町112-29フレスコア旭橋1F
編集部:小野佳希、松原ひな子