寅子は“変わり者”、では花江は?朝ドラ『虎に翼』で描かれてきた「さまざまな女性の在り方」のこと
彼女たちの描かれ方は、「憲法14条」に繋がる
ここまで書いてきてわかるのは、ドラマに限らず、世の中で多数派ではないこと、つまり「変わり者」はたくさんいて、多様であるということは、ごくごく当たり前のことであり、このドラマが決してマジョリティに焦点を当てて描こうとしたのではないということだ。 その中には、朝鮮から日本に来た崔香淑(ハ・ヨンス)や、同性のパートナーと交際している轟太一(戸塚純貴)なども重要なこととして含まれるだろう。 この視点を得ることで、『虎に翼』は、「インターセクショナリティ」、つまり、人種、性別、階級、性的指向、性自認など複数の個人のアイデンティティが組み合わさっていることを意識しながら、社会を見ることのできるドラマであることに気付く。 それは、ドラマの中で何度も出てきた憲法14条の「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という条文ともぴったりと重なるのだ。
西森路代