甲斐翔真が韓国ミュージカルを学ぶ!加藤和樹、真彩希帆と語った熱いミュージカル愛
海外ミュージカル好きを公言する若手実力派俳優・甲斐翔真がMCを務める『World Musical Show Times』。第三弾となる今回の『韓国ミュージカル特集』では、甲斐が実際に韓国を訪れ、俳優や作曲家などのクリエイター達にインタビューを行って、韓国ミュージカルの成長過程を学び、現在地を知り、ミュージカル愛を再確認。甲斐の観劇や街歩きの様子も収められており、世界に拡がる韓国ミュージカルを多面的に捉えている。 ゲストに加藤和樹と真彩希帆を迎え、ミュージカルへの熱い想いを語り合う。また、3人の歌唱披露もたっぷり見られる。 【写真をみる】甲斐翔真が韓国ミュージカルを学ぶ 前編のインタビューのトップバッターを飾るのは、ミュージカル『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』で甲斐と同じクリスチャン役を演じた俳優のイ・チュンジュ。二人は初対面にも関わらず、好きな場面や好きな台詞の話から苦労話まで『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』について時間を忘れて盛り上がる。同じ役を違う言語で演じた俳優が、ひとつの作品への想いを共有し、理解し合う姿は珍しいのではないだろうか。イ・チュンジュは2023年に日本でミュージカル『DEVIL』に出演したが、機会があったらまた日本で挑戦したい、甲斐ともいつか共演したいと話す。日本語も話すイ・チュンジュと韓国語を勉強している甲斐が、日本語と韓国語を混ぜながら時に真剣に、時に大笑いしながら、ミュージカルへの想いを語る姿は必見だ。 次に甲斐がインタビューしたのは、ソウル市ミュージカル団のキム・ドクヒ団長。数年前にミュージカルは芸術であると法で認められたことで、国や企業から金銭的支援を受け易くなったこと。それにより、作品の挑戦と発展、人材の教育と成長に、より力を入れることが可能になったこと。その結果が、今の韓国ミュージカルであり、今後も更に飛躍するだろうと話す様子は逞しい。 興味深いのは、国立の韓国芸術総合学校出身の作曲家ミン・チャンホンと劇作家チョ・ミンヒョンのインタビューでも、良い作品を創る為には沢山の失敗が必要だと話していること。そして、失敗を恐れずに挑戦する為には、時間とお金が必要である、と話す。韓国ミュージカルは一朝一夕で実力をつけたのではなく、時間とお金をかけて失敗しながら成長してきたのだと想像すると痺れる。 そして、その考え方は、大手制作会社EMKミュージカルカンパニーのキム・ジウォン副代表のインタビューからも伝わってくる。副代表は、沢山失敗することで学びがあり、その学びが自分と会社を前に進ませると話す。そして、自分は沢山失敗しました、と軽やかに真っ直ぐ話すカッコ良さよ! そこには硬い信念と強い愛があるのだ。 後編でも感銘を受けるインタビューが続く。 後編最初のインタビューは、小劇場でオリジナルミュージカルをプロデュースし続け、マーケティングの天才とも言われている、ネオプロダクションのイ・ホンジェ代表。イ・ホンジェ代表も、作品と人材の成長の為には時間とお金が必要不可欠だと語る。そして同時に、お客さんに舞台を好きになってもらう、また舞台を観に来てもらう為の努力と戦略を忘れない。 次にインタビューしたのは、韓国のミュージカル界で活動している日本出身の俳優、ルミーナ。彼女からは現在の韓国のミュージカル事情を聞く。異国で挑戦することは困難もあると思うが、俳優生活についてにこやかにそして堂々と話す様子から、韓国ミュージカルへの挑戦が、大変でも楽しく充実したものであると窺える。唯一通訳を介さずインタビューをしたからか、自由に伸び伸び話しよく笑う甲斐の一面が見られる。話に出たように、いつか二人が共演する姿を見られますようにと密かに願う。 そして、作曲家のイ・ソンジュンからは、自分以外の作曲家への感謝と尊敬の想い、自分を向上させ続ける為の謙虚さと直向きさが伝わる。作曲する大変さや困難ではなく、音楽とミュージカルへの深い愛を言葉の隅々から汲み取ることができる。言葉を選びながら穏やかに丁寧に話す姿からは、あの壮大且つ繊細な音楽を創る姿は想像ができない。もっと話を聞いていたいと思ってしまう。 最後のインタビューは、2020年の甲斐のミュージカルデビュー作『デスノート THE MUSICAL』で共演した俳優のパク・ヘナ。甲斐よりも年齢も芸歴も先輩だが、話す内容や掛ける言葉はどこまでも優しく心遣いと愛に溢れている。ミュージカルを目指す人たちに向けての話は、ミュージカルと関係なく心に響き、深く胸を打たれる。当然かもしれないが、主演を務めてきた人にも上手くいかず耐える時期がある。だからこそ失敗を恐れず、努力を積み重ねてきた人の言葉は重く、厳しく、真に迫るのだ。 ミュージカルが文化芸術のひとつとして認識されていること、ミュージカルをより多くの人に観てもらう為の努力を惜しまないこと、ミュージカルの規模に関わらず俳優もクリエイターもお互いを尊敬し尊重し、不断の努力を重ねてミュージカルを創り、共により良いミュージカル界を築こうとしていることがどのインタビューからも伝わってきて感動せざるを得ない。ミュージカルはショービジネスではあるけれど、それ以上に、文化であり、芸術であり、人の心を動かす物語なのだと再認識する、ミュージカル好きによる、ミュージカル愛に満ちた番組、それが『World Musical Show Times』である。 文=保科由里子
HOMINIS