河合優実&吉田美月喜、勝てない経験も糧に『ルックバック』が描く嫉妬と憧れに抱く共感
河合:わたしも同じかもしれません。やっぱりそれってモノづくりの基本だと思うのですが、よく見せたいとか、活躍したいとかいう思いが強くなると、どうしてもどんどん個人戦になっていってしまいがちなんですよね。でもそれって役者の本質ではないし、俳優部という一つの部署であるからには、作品がどうやったら良くなるのかを第一に考える必要があると思います。そのことはしっかりと肝に銘じて臨んでいます。
Q:チームワークが大切なんですね。
河合:絶対にそうですね。もちろん自分にしかできないことや、自分にはできないこともたくさんあると思いますが、やっぱりみんなで作っているという意識を持てば、作品はどんどん良くなると思います。
Q:これまでの人生のなかで、藤野のように、誰かの才能に打ちのめされてしまったような経験はありましたか? 河合:打ちのめされたというわけではないのですが、ダンスをやっていたとき、わたしともう一人の子がリーダーをやりたいということになって。二人でどちらがやるかを話し合ったのですが、私は相手の子のダンスも人柄も尊敬していたので、最終的にその子にお願いしたんです。勝てないな……と思っても相手に対して敬意というか尊敬があると、あまり嫉妬する気持ちも起きないし、藤野と京本の関係じゃないですが、腐らずに手を繋げるんだなと、そのとき思いました。
吉田:わたしはちゃんと「うわ、負けた」という経験ってあまりこれまでなかったんです。色々なスポーツをやっていたのですが、あまりこだわりがなく、シンプルに楽しいからやっていた……みたいな感じで。でも事務所に入って、初めて演技に出会ったとき、こんなに夢中になれることがあったんだって感じたんです。だからこそ、オーディションに落ちたときは「なんでダメだったんだろう、この人より何が劣っていたんだろう」と悩んでしまった時期はありました。でもだんだんと「縁とか運命なんだな」と思うようになって。これまで声優のオーディションも結構受けていたのですが、結果が出なくて。もう向いていないのかなと思っていたら『ルックバック』でこんなに素敵な役と巡り合えました。