首相就任前に衆院解散と選挙日程に踏み込んだ自民党の石破茂総裁＝9月30日午後、党本部 （斉藤佳憲撮影）

自民党は7日、衆院選（15日公示、27日投開票予定）の公認予定候補者について、各都道府県連の申請を締め切った。石破茂首相（党総裁）は政治資金収支報告書への不記載が確認された衆院議員について比例代表への重複立候補を認めないなど派閥パーティー収入不記載事件を受けた対応を固めている。党執行部は選挙区の情勢なども踏まえて最終的に判断する。 【画像】次期衆院選での「政党議席予測」（5月27日時点） ■愛知5区の現職は公認申請せず 福岡県連は福岡4区の現職、宮内秀樹氏、6区の現職、鳩山二郎氏の公認申請をしない。4区は宮内氏と立候補を表明した県議の調整がつかなかった。6区を巡っては、鳩山氏が初当選した平成28年の衆院補欠選挙で保守分裂した経緯があり、鳩山氏は現在も県連に所属できていない。 9区に関しては、参院議員の大家敏志氏を公認申請。大家氏は県連が昨年夏に実施した支部長を選ぶ党員投票で勝利したが、県連重鎮の麻生太郎最高顧問が大家氏のくら替えに慎重だった。 愛知県連は愛知5区の現職、神田憲次氏を公認申請を見送る。神田氏は昨年11月、過去の税金滞納を認め、財務副大臣を事実上更迭されており、党地元支部は新人の擁立を県連に要請したが、県連は「空白」で申請し、党本部の判断に委ねる。 神奈川県連は、前回の令和3年衆院選は神奈川1区から無所属で立候補した元職で元国家公安委員長の松本純氏を同区で公認申請。松本氏は新型コロナウイルス禍の緊急事態宣言発令中に東京・銀座のクラブを訪れたことで、一時離党し、4年1月に復党した。 ■甘利明氏も比例重複見送り 選挙区で敗れ比例復活当選を繰り返す4区の現職、山本朋広氏と9区の現職、中山展宏氏については、選挙区のみで公認申請し、比例代表との重複での申請は見送る。両氏の復活当選は平成24年衆院選から連続4回となっている。 比例の「73歳定年制」に該当する松本純、2区の菅義偉、10区の田中和徳、20区の甘利明の4氏も重複での申請を見送り、党本部の判断に委ねる。 福島県連は福島2区で新人の根本拓氏を公認申請する。同区に関しては、現職で元厚生労働相の根本匠氏が9月29日に不出馬を表明しており、拓氏は父である匠氏の事実上の世襲候補となる。

和歌山県連は和歌山2区で、二階俊博元幹事長の三男で新人の伸康氏を公認候補予定者として推薦する。同区は不記載事件に伴い、離党した無所属新人の前参院幹事長の世耕弘成氏もくら替え出馬する方向で、保守分裂となる公算だ。