上白石萌音さんが悪意の虜!? 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」で見せる新しいヒールの顔
現在公開中の映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」に出演する上白石萌音さん。役どころは、主人公である銭天堂の店主、紅子(天海祐希)をライバル視している、謎の駄菓子屋・たたりめ堂の店主のよどみ。本誌の連載企画で、世界の料理を幸せそうに“ガブリ”している彼女だが、本作では駄菓子を使い、人々を惑わせ悪意を集めているという…。 【写真】上白石萌音さんの撮り下ろしカットをもっと見る! そんな、萌音さんの新しい&怖い一面が見られる、気になる物語、そしてよどみという役について、話を聞いた!
人の悪意を集める「よどみ」という役は 中田秀夫ワールドにこそ生きる
──今回萌音さんが演じているたたりめ堂の店主、よどみは、これまで見たことがないヒール的な役ですね。撮影に臨むにあたり、準備したことは? 「アニメでよどみを演じている榊原良子さんの声と同じような印象を、自分の声でも抱いてもらうにはどうしたらいいか、家で黙々と研究をしました。駄菓子を通して人に幸せを与えようとする主人公の紅子さんに対して、よどみは好んで人の悪意を集めるという、いわゆるダークサイドにいる女の子。そんな彼女の中にも、ちゃんとした目的やヒールなりの正義があるということをすごく考えていて。演じるにあたり、よどみの理解者になろうと準備をしました」
──キャラクターの解像度を上げる中で、どんな“よどみ像”にたどり着きましたか? 紅子さんに「なんでこんな商売をやっているのか」と聞かれたときに、よどみは「楽しいからだよ!」と答えるんです。このセリフが彼女のすべてを表していると感じて、彼女の振る舞いのつじつまが合いだしました。あと、これは私の考えですが、よどみの行動の根底には、寂しさがあるんじゃないかなと思ったんです。もちろん、これまで彼女がどんなことを経験してきたかとか、どんなことが彼女の身に起きたのかはわからないけれど、“悪意にすがる”ことが、よどみが生きる最後の砦になっているのかもしれないな。と…。演じながら、そんなことを考えていました。
──実際、どんな役づくりをしたのでしょうか? よどみは、見た目は子供で、中身が大人という──こう言うと、まるであの有名な名探偵みたいですが(笑)──イメージとしては、体の成長が子供のまま止まり、中身だけ成熟していった感じです。原作でも「見た目は7歳くらいだけど、しわがれた声をしている」と説明されています。考え方や発言は大人でありながら、仕草や立ち振る舞いを子供っぽくすることで、よどみ自身がどこか浮世離れした存在に見えるようにしたいなって。首から上と下が全く違う年齢の状態を表現することで、人の悪意を集める不気味な行動が楽しそうに見えるようにできたら、と思っていました。中田(秀夫)監督とも、「心と体が分離した、ちょっとちぐはぐな子にしたいですね」と話し合いました。