心配性の親ほど「子どもの話す機会を奪っている」可能性が高い理由
わが子を心配する気持ちが強いあまりに、「この子は自分がいないと何もできない」「自分で意思を伝えることができない」など思い込んでいませんか? しかし、どんな子でも園子自身の意志や考えを持っているのです。児童精神科医である、精神科医さわさんが、子どもを見守る重要性を語ります。 【マンガ】「集中力が高い子ほど、乳幼児期に体験している「フロー状態」とは? ※本稿は、精神科医さわ著『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること 』(日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです。
不安の強い親ほど「見ない、待てない、気づかない」
心配性の親御さんというのは、子どもが自分の気持ちを口に出すのを待てませんし、子どもの様子を見ているようで、じつは見ていません。見ていないから、子どもがなにかを言いはじめるのにも気づきません。 そんな、子どものことを「見ない、待てない、気づかない」というのが、不安の強い親御さんの特徴です。 「見ない、待てない、気づかない」親御さんは、子どものことを信じることができません。心配性の親は、この子は私がいなければなにもやらないし、なにもできないし、なにもわからないと思っているからです。 だからこそ過干渉になりやすいのですが、子どもがやる前から親が手を出してしまう、なにかする前に親が道をつくってしまうということを繰り返していくと、子どもは「自分がやらなくても親がやってくれるからいいか」と感じるようになっていきます。そして、子どもが自分ではなにもできないという負のサイクルにおちいってしまいます。 子どもが成長する機会を奪っているのは親御さん自身なのです。まずは、子どもの目を見て、子どもの声を聞くことからはじめてみてください。そして、子どもを見守ること。大事なことはそれだけです。
子どもの声に耳を傾けていますか?
家で暴れる子どものことで困っていてクリニックに訪れる親御さんの中には、「どうしたらいいんですか?」と私にたずねるお母さんも多くいます。もちろん、心配だから正解を求めたくてたずねるのはわかりますが、その答えを持っているのはお子さん本人なのです。 「お子さんに、お母さんにどうしてほしいのかって聞いたことありますか?」と聞くと、言葉に詰まる方が多いです。 もちろん、子どもが暴れているときは感情的になっていてどうにもできないかもしれませんが、感情的になっていないときも必ずあるはずですから、そのときに「どうしてほしい?」と聞いてみてほしいのです。 子どものことをちゃんと見て、声を聞いて、信じるというのは、頭ではわかっていても、「じゃあ、どうすれば?」と思うかもしれません。 「見ない、待てない、気づかない」の裏返しは、ただ笑顔で、愛情を持って、子どもを見守るということです。 ふだん子どもにいろいろなことをしてあげている親からしてみれば、「それだけ?」と思われるかもしれません。でも正直言って、それだけなんです。一番簡単だけど一番大切で、多くのお母さんが一番できていないことです。そして、やろうと思えば、すぐにできることでもあります。 お母さんが笑顔でそばにいるだけで子どもは安心し、おだやかになり、自分の言いたいことを伝えられるようになるのです。