リオ五輪逃した北島が引退を示唆。「自信を持って次のステージに行ける」
リオ五輪の代表選手を決める水泳の日本選手権の第5日が8日、江東区の辰巳国際水泳場で行われ、男子200m平の決勝に出場した北島康介(33歳、日本コカコーラ)は2分9秒96のタイムで5位に終わり、五大会連続となる五輪出場を逃した。決勝での2位以上、2分09秒54の派遣標準記録のクリアが代表権を得る条件だった。 スタートから先頭に出た小関也朱篤(24歳、ミキハウス)を、北島が2位で追う展開。100mのターンでは体半分、引き離され、残り30メートルほどで渡辺一平(19歳、早大)に抜かれた。優勝は100mで優勝しながら派遣標準記録をクリアできなかった小関で、2位は渡辺。小関は、2分08秒14、渡辺も2分09秒45、両選手ともに派遣標準記録をクリアして、リオ五輪代表切符を手に入れた。 北島は、今大会を「自分に能力を出せる最後の勝負」と位置づけ、冬場にスペインの標高2000mを超える高地で2度のハードな合宿を張るなど、万全の準備をしてきた。100m平では決勝で2位に入ったが、派遣標準記録をクリアすることができず、この200m平に最後の勝負をかけたが、体力の回復がおぼつかず33歳という年齢に勝てなかった。 レース後、北島は「悔いは残る。でもすがすがしい。きちんと、最後まで攻めのレースができていた。結果はよくなかったけれど、オリンピックに行きたいという気持ちを持って、頑張りきれたという思いがあるから、悔しいけど、晴れ晴れしいというか、やりきった感がいっぱいです」と笑顔で答えていたが、徐々に、その目からは涙がこぼれ落ちた。 「オリンピックしか僕には残された道はなかった。どうしても行きたいという気持ちが、去年から僕を奮い立たせてくれて、ここに今、僕がいる。最後まで、平井先生とタッグを組んで、最後までできたのは、幸せものだけど、できれば、最後は平井先生と一緒にオリンピックに行きたかった。 コカコーラさんにも、いいときも悪いときも、応援してもらったから、今の自分がある。この10年以上、周りでは、いろんなことがあって、自分で消却できない時期もあったし、整理のできない時期もあったが、ここまでの長い期間、水泳に携わらせてもらった。選手として最後は不本意だったが、たくさんのお客さんに見てもらって、ここまで自分のパフォーマンスを高いレベルでできた。自信をもって次のステージにいきたいと思う」と、競技生活からの引退を示唆した。 涙の理由について尋ねられると「インタビュアーが泣いているんだから、ずるいでしょ」と言って、また目を真っ赤にさせた。 次のステージ(引退後)の話については、「終わって、この数分で、次何をやるかは、安易な答えになると思うので控えさせてもらいたい」と、言葉を飲み込んだ。 北島が17歳で出場したシドニー五輪から4大会続いていた連続出場は途絶えたが、彼が、これまでの五輪で獲得してきた4つの金メダル、ひとつの銀メダル、ふたつの銅メダルの価値は、色褪せることなく、むしろ、勇気ある33歳の挑戦で大きく輝いた。前人未踏の歴史を水泳界に刻んだレジェンドは、最後の最後まで北島らしかった。