米労働省、消費者物価統計を不注意で予定より30分早くウェブ掲載
(ブルームバーグ): 米労働省労働統計局(BLS)は15日、同日午前8時半(日本時間同午後9時半)に予定していた4月の消費者物価指数(CPI)と実質所得の発表について、一部のデータを不注意で約30分早くウェブサイトに掲載していたことを明らかにした。
データを誤って予定時刻よりも早く掲載したことで、相場に響いた明確な兆候はないものの、世界的にも最も機微に触れる経済データを扱うBLSの発表のあり方に、あらためて疑念が生じることになりそうだ。
BLSは15日夜にウェブ掲載した発表文で、「今日のCPIと実質所得の発表に先立ち、ファイルのサブセットが不注意で約30分前に掲載された」と説明した。行政管理予算局(OMB)と労働省監察総監オフィスにこの問題を報告したとしている。
その上で、「BLSはデータのセキュリティーを重要視しており、こうした出来事が繰り返されぬよう、手続きや管理体制について本格調査を実施している」とコメントした。
ブルームバーグ・ニュースを含む報道各社が午前8時半にCPIのデータを報じた直後、米株価先物は急上昇し米国債利回りは低下。S%P500種株価指数は最高値を更新して取引を終えた。予定よりも早いウェブへのデータ掲載と正規の発表までの約30分間に急激な動きは見られなかった。
ストーンXファイナンシャルの為替トレーダー、呉明賾氏(シンガポール在勤)は「市場全般で言えば、早期に掲載されたデータで取引する動きはなかったのではないか」と指摘。仮にトレーダーが気づいていたとすれば、30分というのは反応するのに「非常に長い」時間となっただろうと語った。
CPI統計は米経済などの方向性を示す手掛かりとして、金融当局者やウォール街の投資家が注目しており、早期の情報漏れがないよう厳格な手続きが講じられていることが前提となっている。
一方、ブルームバーグ・ニュースは先月、BLSのエコノミスト1人が、JPモルガン・チェースやブラックロックなどウォール街の主要プレーヤーと、重要なインフレ指標に関するデータについてやりとりしていた事実が明らかになり、経済情報への公平なアクセスに疑念が生じていると報じていた。