『キン肉マン』大好き作家・燃え殻×爪切男の先月の肉トーク!! vol.35【コミックス派はネタバレ要注意!】
爪 ウォーズマンらしい場所ですよね。しかし、ウォーズマン、このリングまで来たら、アンドロイド・サルダートに扮装してなくてもいいだろ、っていう気もしますけど(笑)。 燃 でも『キン肉マン』って、このパターン、前からあるよね。ラーメンマンがモンゴルマンになって出てきたり、キン肉マングレートの正体がプリンス・カメハメだったり。 爪 今のファナティックもまさにそうですよね。「サイコマンじゃないの!?」っていう。でも、ここでウォーズマンが変装にこだわったというのが、このあと何か意味を持ってきそうな気もするんですけどね。だって、「この施設のヤツらにしてみれば、オレも侵入者でしかも脱走者...今このまま出ていってもますます混乱が広がるのみ」って、べつに混乱してもいいじゃないですか。 燃 はははは。 爪 アンドロイド・サルダートたちもコワルスキー長官も、ウォーズマンには刃が立たないだろうし。でも、緊急事態なのにわざわざ変装をしたのは、そこに何か理由があるんじゃないかな、と思っちゃうんですよね。燃え殻さんが言う「ウォーズマン総決算」ならではの、何かとんでもないことが起きるんじゃないかな。 燃 ......どうしよう、何も起きなかったら。 爪 闘っていて服が破れて、長官が「お前はウォーズマンじゃないか!」と言っただけで終わる、とかね(笑)。 燃 それも含めて、『キン肉マン』っぽいけどね。あと、楽しみなのが、ウォーズマンって、闘うといつも激しく壊れるじゃない? 全部の試合に哀愁があるし、物語性もあって......『キン肉マン』のキャラクターの中で唯一、読んでいる子供が本気で泣いちゃった、そういうものを背負っている、ある種特殊なキャラクター。ほかの試合と違って、カラッとしてない。ウェッティじゃない? 爪 それがいいんですよね。
燃 そこが、僕らがウォーズマンを好きなところだね。試合中に雨が降るし......ウォーズマンの時だけだよ、雨が降るの(笑)。そこに悲しみと、おかしみみたいなのがあって。で、ウォーズマンのパロ・スペシャルって、『キン肉マン』に出てくる数々の技の中でも、みんなが実際にやってみたことがある技の第1位じゃない? キン肉バスターよりも上だと思う。 爪 ああ、そうですね。 燃 僕も中学の頃、かけたし、かけられたし。そういう日常でも可能な技を持っていて、読者にいちばん近いキャラなんだよね。プロレスの技、足四の字固めとかコブラツイストと、同じくらいメジャーなところにあると思う、パロ・スペシャルは。ウォーズマンってそれぐらい、読者に近いし、痛みも伝わるし......たとえば、ジェロニモって人間じゃない? 爪 ああ、なのに、機械であるウォーズマンのほうが、読者に近い。 燃 そう、機械なのに人間味がある。表情がないのに痛みも悲しみも読者に伝わる、不思議なキャラクターだよね。 爪 負けフラグはビンビンに立ってるけど、勝ってほしいな。ここで負けると2連敗になっちゃいますからね。 燃 そうなんだよね。 爪 ウォーズマンと同時進行で試合をしているネメシスも......。 燃 立ってる。マンガの構成で言うと、このふたつの闘いを同時進行で描くっていうことは、ダブル負けフラグだから......。 爪 でも、負けフラグのふたりが同時に闘ったら、さすがにどっちかは勝つんじゃないか、っていう気もするな。もし、どっちかが勝つとしたら......俺は、ネメシスのほうが、勝てそうにない気がします。 燃 うん、無理だろうなあ。だって、ネメシスの強さって、どのくらいだっけ? 爪 え? いや、キン肉マンとやり合うぐらいやから、エース級ですよね、超人側の。 燃 だから、ネメシスがここで負けると、他の超人たちも簡単に勝たせるわけにはいかなくなる。パワーバランスがおかしくなるから。 爪 でもファナティック、五大刻の中でも特にキャラが立っているから、ここで負けて物語から退場、というわけがない気もするし。 燃 それは読者はみんな思うことだよね。 爪 ですよね。ちなみに、453話で明かされた、ダンベルの設定はどう思いました? ファナティックが完璧超人始祖たちのダンベルを、ニセ物とすり替えてサグラダファミリアに持ってきた。ダンベルは元の所有者たちの命そのもので、それをマグネット・パワーの海で固めて封印したから、ジャスティスマンは一切の動きを封じられてしまった、という。 燃 あの、オレ、ちゃんと理解できていないので、もう一回読みます。よくわかんなかったんだよなあ......(読み直す)......なるほど......。 爪 あんまりピンときてないですね(笑)。 燃 でも、嶋田先生の視点になって考えると、物語上、ジャスティスマンを封じて排除する必要があった、っていうことだよね、たぶん。 爪 ここでジャスティスマンが動いちゃったら、勝たせないわけにいかないし。どうやって動けなくしようか、と考えて、ダンベルすり替えにたどり着いた。この封じられ方だったら、ジャスティスマンの株は下がらないし。 燃 強い弱いは関係ないもんね。 爪 この件でわかったのは、『キン肉マン』を読む時は、登場人物たちの後ろに飾られている物とかも、ちゃんと見とかなあかん、ということですね(笑)。「後ろのあれにもちゃんと意味あったんや?」っていう。そういうミステリ要素も意外とあるということですね。 燃 気になったのが、さっき話したように、このウォーズマンvsペシミマン、道場マッチじゃない? レフェリングどうするの? 爪 あ、そうか。闘う場所が屋上なら、宇宙超人委員会がヘリで飛んでくるだろうけど。 燃 もしくは、リアタイで闘いを観れるよう、映像で中継されているとかね。 爪 そこも『キン肉マン』のよさですもんね。必ず裁く人がいる。ただ闘うんじゃなくて試合なんだ、という線は外さないのが。