1院制と2院制、世界の国会で多いのは? 日本は参院のあり方を論議
秋の臨時国会が、9月中に召集される見通しです。7月に行われた第24回参院選で選出された新しい顔ぶれが加わり、補正予算などの国会審議が繰り広げられることになります。 日本では、このように衆院、参院の両議院により、国会が構成されていますが、世界の各国はどのような制度をとっているのでしょうか。
世界は6割が1院制
列国議会同盟(IPU:Inter-Parliamentary Union)のデータによると、ことし8月末時点で、世界193カ国のうち、1院制を採用しているのは116カ国(60%)、日本と同じ2院制(両院制)は77カ国(40%)で、世界的には1院制が多数となっています。 1院制を用いている主な国としては、中国、トルコ、韓国、イスラエルやデンマークなどがあります。2院制は、北欧を除く先進国が多く、日本のほか、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダなどです。
1院制と2院制 双方に利点と欠点
1院制の利点としては、審議の早さが挙げられています。両院の対立による決議の遅れがなく、また意見が一致している場合の重複した議論を避けることが出来るため、速やかな法整備や予算成立が可能になります。2つの議院を維持する費用(人件費・選挙費用等)が削減されます。 一方で2院制は、慎重な審議で雰囲気に流されにくく、国民に議論の中身を広めやすいとされています。多様な国民の代表を選ぶことができ、より広い意見が反映しやすいといわれ、下院(日本の場合、衆院)が解散中に、緊急に国会の決議が必要な事態が生じた際、上院(日本の場合、参院)がその機能を努めることができる点などがメリットです。
多数ある制度を変えた国 日本では参院について議論
海外では、こうした国会制度を変更した国も多くあります。例えば、北欧はもともと2院制でしたが、デンマークが1953年に、スウェーデンは1970年に、ノルウェーは2009年に1院制に移行しました。反対に1院制から2院制へと変更した国もあります。スペイン(1976年)、ルーマニア(1991年)、ロシア(1993年)、カンボジア(1998年)などです。 こうした動きとしては、人口がそれぞれ1000万人に満たない北欧諸国のように、人口の比較的小さな国で、1院制に以降する傾向がみられました。一方で2院制への変更は、社会主義から連邦制、民主国家への移行といった国家システムが大きく転換した際に起こりやすい、と指摘されています。 日本では、参院がどうあるべきか、参院制度研究会、同憲法調査会などで議論されてきました。8月におおさか維新の会から名称を戻した日本維新の会は基本方針として「衆参統合1院制」を掲げています。