新札発行後、初めての「お年玉」は新札で用意したい!→元銀行員が伝えたい、お年玉に「新札」をおすすめしない理由とは?
新年の風物詩のひとつでもある「お年玉」。お年玉のお金やポチ袋を用意し始めている人もいるでしょう。銀行の窓口でも、年末が近づくにつれ、「お年玉用に」と新札の両替を求める人が増えてきます。特に2024年は、紙幣が新しくなったことから、旧デザインの紙幣ではなく、新デザインの紙幣の新札を渡したいと考える人もいるのではないでしょうか。 しかし、元銀行員である筆者は、さまざまな観点から「お年玉」に新札を包むことがベストではないと考えています。本記事では、お年玉に新札をおすすめしない理由について解説していきます。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
お年玉は新札で渡すべき?
お年玉は、年始のあいさつとして渡されるもので、ご祝儀の1つと考える人もいます。結婚式をはじめとしたご祝儀を包む際は、新札を用意することが一般的なマナーとされているので、新札は礼儀であると考える人もいるでしょう。 小学館が行ったお年玉に関する調査によると、お年玉に新札を用意する人は全体の48%、新札以外は52%という結果になり、半分近くの人が新札を用意していることが分かります。
お年玉に新札は向いていないかも
ご祝儀に新札を用意するのは、現代社会に浸透しているマナーではありますが、なぜお年玉に新札は向かないのでしょうか。それは新札の発行事情と、渡す対象が「子ども」であるという点が挙げられるからです。 ■新札は限りがある 実は、新札は発行・流通している数に限りがあります。新紙幣が発行されたばかりだから、どんどん新札を印刷しているのでは、と思うかもしれません。 しかし、新紙幣をどんどん印刷して流通させてしまうと、市場に出回る紙幣が一気に増えてしまい、経済のバランスを取るのが難しくなってしまいます。そうなることを防ぐため、寿命がきて古くなってしまった紙幣を回収しながら徐々に新紙幣を流通させているのです。 銀行の金庫にある1万円札もすべてが新紙幣というわけでないので、状況によっては新札の在庫がないというケースもあるのです。 ■新札はポチ袋だとすぐに折りたたんでしまう 折りたたむ必要がない封筒を使う手もありますが、お年玉といえば、子どもが喜ぶような小さなポチ袋に入れて渡す人は多いでしょう。 一般的に文房具店や100円均一の店などで販売されているお年玉用のポチ袋は、紙幣をそのまま入れることはできず、折りたたんで入れるようになっています。これではせっかくの新札が、渡す前にすでに折り目がついてしまいます。 先ほども解説したとおり、新札には数に限りがあるので、すぐに折りたたんでしまう行為は「もったいない」ともいえるでしょう。 ■新札は数え間違いもある 新札は折り目やしわがついていないので、新札同士の間に隙間ができず、数えにくいこともあります。結婚式のご祝儀の場合は、もらったご祝儀を銀行に入金したり、結婚式場で支払いに充てたりするため、銀行員や担当者がしっかりと数えてくれることが多いでしょう。しかしお年玉の場合は、その受け取り手は子どもです。 紙幣の取り扱いに慣れていないこともあるので、重なった紙幣に気づかず、お店で誤ってレジ価格よりも多めに支払ってしまう可能性もあるでしょう。 ■新札は手にけがをするかも コピー用紙や段ボールで手を切って、けがをしたという経験はありませんか。流通している紙幣は人から人の手に渡ったり、機械を通ったりする過程で紙質が柔らかくなり、角が丸くなっていきます。 しかし、新札は流通している紙幣と比べて、まだ柔らかくなじんでいないため、紙質が硬く感じられる時があります。そのため、お札の角や切断面も硬く鋭利なので、手にけがをしてしまうことがあるのです。 子どもの皮膚は大人と比べて薄く、ちょっとした刺激でも傷ができてしまいます。かわいい子どもの手を守るためにも、新札を渡す際には注意が必要です。
新札を渡したい場合は、取り扱いに注意
新札は、金融機関でも取り扱い数がそれほど多くなく、金融機関によっては在庫があまりないこともあります。そのため、すぐに折りたたんでしまいがちなお年玉に使用するにはもったいなく、子どもの安全面を考慮しても、不向きではないかと考えます。 お年玉を新札で渡したいと考える場合は、小さめのポチ袋でなく、折りたたまないで入れられる大きめの金封を検討しましょう。また、安全面や支払い面を考えても、ある程度の年齢が上の子どもにのみ渡すなどの配慮も必要かもしれません。 執筆者:渡辺あい ファイナンシャルプランナー2級
ファイナンシャルフィールド編集部