大河『光る君へ』宣孝役も話題の佐々木蔵之介が新たに挑戦するのは「ぶっ飛んだ」神聖ローマ帝国
メジャーでない人を演じるからこその面白さ
――シェイクスピア作品などで万人が知っているキャラクターも数多く演じてこられていますが、こういった“知る人ぞ知る”人物を表現することの面白さを教えてください。 シェイクスピアだと、この登場人物をこの座組で、このキャストはどういうふうに演出をして、どういう切り口で見せようかという楽しみもあり、それを観に行ったりもするのですが、フェデリコに関しては最初からお客さまが「知らんぞ、これは!」というスタンスですからね(笑)。 僕はこの人に光を当てたいというより、劇中でこの人と出会ってもらい、「この人の人生を楽しんでもらえたら」いいのかなって、そういう感じです。阿部修英さんが描くドキュメンタリーっぽい感じで、フェデリコ2世の人生や、その時代を体験してもらえたらいいかなと思っています。 ――日本では誰も深くは知らないがゆえに、アプローチ方法もたくさんありそうです。 そうですね。例えば『カノッサの屈辱』という言葉や歴史的事実は知っているけれど、雪の中で跪いているけど、実はどういうことだったのか? 教皇と皇帝が、そしてキリスト教とイスラムがどういう状態になっていたのか? ということのリアルがわからないわけですから、それをエンタメでお観せします。歴史を予習してこなくても大丈夫です! ――脚本家・阿部修英さんと演出家・東憲司さんと改めてご一緒されるのは、どのような心境ですか? 前回の舞台でご一緒した『君子無朋』(2021年)のときは阿部さんと東さんが合宿みたいな形で、台本を13稿、14稿くらいまで作ってくださり、そこに僕も入って「もっとこうしたい」「いや、こうしたほうがいい」と、なかなか難産だったのですが、みなさんに楽しんでいただけたようで、よい評判もたくさんいただきました。 だからこそ、またこのタッグでやろうと思ったわけなので、今回も、もう少し磨かなくてはいけない、もう少しそぎ落とさなくていけない、もうちょっと、もうちょっと…という気持ちで台本作りをしています。 いろいろな演出家さんとご一緒させていただいていますが、特に東さんは稽古時間が短いんです(笑)。短い時間でしっかり集中して、それを持って帰って反芻して、翌日の稽古に備える。短いからこそ、その稽古時間内である程度のモノをきちんと見せていかないといけないという厳しさはありますが、短いのはすごく嬉しいです(笑)。 あと今回はちょっと変わった趣向も取り入れようかと思っていて。 ――それはどういったことでしょう? 肉体を使っていろんなものを見せたいなぁ、と……。というのも、十字軍と言ってもなかなか分からないだろうし、ヨーロッパの地図も想像しづらいでしょうし……。 そういった疑問や分かりづらい部分を難しくなく、どうやって見せられるか。劇中でお勉強もしつつ、面白く観客のみなさんに伝えられたらと思っています! 佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ) 1968年2月4日生まれ 京都府出身。神戸大学在籍中、劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加、以降看板俳優として活躍。退団後、2000年NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」で注目を集めその後テレビ・映画・舞台など数多くの作品に出演。2005年には自身がプロデュースを務める演劇ユニット「Team申」を立ち上げ不定期で公演を開催している。主な出演作にNHK大河ドラマ『光る君へ』(2024年)、『映画 マイホームヒーロー』(2024年)、『ゴジラ -1.0』(2023年)、舞台『冬のライオン』(2022年)、『「守銭奴ーザ・マネー・クレイジー』(2022年)など。佐々木蔵之介FCサイト『TRANSIT』
前田美保