60歳の競輪選手が強制引退前に最後の激闘 3日連続単騎で挑んだ“魂のラストラン”
2023年12月いっぱいで競輪選手のキャリアに終止符が打たれた多田司(60歳・大阪=51期)は、23年12月24~26日の四日市競輪ナイター「名物『なが餅』笹井屋杯(F2)」が現役最後のレースとなった。最後まで勝利への活路を求め戦い抜いた、多田の3日間の走りを紹介したい。(netkeirin編集部) ■初日:予選 一気の切り込みからの強烈なヨコ! 4着勝ち上がり 初日の3Rチャレンジ予選。前期2班で圧倒的な点数上位の菅田謙仁と大知正和の2分戦。多田は単騎での戦いとなった。 残り2周のホームで菅田が大知を突っ張り、多田は菅田ライン4車の後ろ5番手の位置。 残り1周半を切り、ジャンが鳴ると多田は内へ一気に切り込んだ。菅田ライン3番手を取りに行ったが、そこは土屋宏が死守。すると多田は、今度は土屋の後ろの乙川高徳を強引にどかして4番手奪取に成功。そのまま4着でゴールし準決勝へ進出した。 ■2日目:準決勝 大外強襲・気迫の捲り追い込み決め2着で決勝進出 2日目の3Rチャレンジ準決勝も、菅田謙仁と新人・平野想真の2分戦で、多田は単騎での戦いに。 初日と同じく残り2周で菅田が突っ張り、多田は菅田ライン3車の後ろ4番手に位置を取る。 打鐘過ぎから平野が後方5番手カマシ、受けて立った菅田との熾烈な踏み合いに。菅田ライン3番手の北沢勝弘と後ろの多田は、踏み合っている前団と大きく離れてしまう。 ところが多田は、最終バックから猛烈な追い上げを見せる。北沢を追い越しぐいぐいと前団に迫り、気迫の捲り追い込みで大外強襲の2着。決勝へ進出した! ■最終日:決勝 三たびの単騎戦は強烈新人対決に力及ばず6着 最終日の10Rチャレンジ決勝。5連勝中の坪内恒と、岡部伶音の新人対決となった2分戦。三度目の単騎戦となった多田は、岡部ラインの後ろ4番手の位置取り。 残り2周で後ろ攻めの坪内が上がり、2コーナー過ぎで岡部を強引に抑えるも、岡部が坪内の番手にはまる形に。残り1周から再び坪内と岡部の踏み合いとなり、押し切った坪内が2場所連続完全V。岡部ライン3番手・樋口奨平の後ろにいた多田は、最終3コーナーから全力で踏んだが6着の結果となった。 1983年にデビューし、40年間を全力で戦い抜いてバンクを去った多田。最後まで闘志にあふれたベテランレーサーのラストランを称えたい。