すごい!埼玉県勢で初受賞 英語エッセイコンテスト、大宮国際の17歳女子高生が最優秀賞に 始まりは友人との別れ…経験を出発点、考察を深め分析 明確なメッセージを読者に伝える力、審査員も絶賛
TOEICテストを実施・運営する一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が主催する「第16回高校生英語エッセイコンテスト」で、埼玉県のさいたま市立大宮国際中等教育学校5年(高校2年)の古賀杏奈さん(17)=同市緑区=が最優秀賞に輝いた。同協会によると、埼玉の高校生が最優秀賞を受賞するのは初という。古賀さんは米国のホームステイ先で友人と別れる時に違和感を感じた体験から「価値観の違いは重要視すべきではなく、どれだけ価値のある時間を過ごせたのかどうか。大事なのは絆や思い出」と、たどり着いた思いをつづった。 女子高生考案の「BoN」完売 「めっちゃ、おいしい」盆栽イメージのスイーツ、盆栽美術館で限定販売
■別れ際のモヤモヤ エッセイは古賀さんが6月末から10日間、ピッツバーグの友人宅へホームステイ後の別れ際の一こまから始まる。 空港のゲートに立つ自身。澄んだ空、新鮮な空気、モーニングコーヒーのいい香りが漂う中、感極まり、あふれる涙。対照的に終始明るい表情で気持ちを受け止める米国人の友人。軽く抱き締め、優しくゲートに向かうよう促した。「正直、私はがっかりした」。日本文化の名残り惜しむ別れを告げるのが礼儀と思っていたからだ。「頭の中はたくさんの疑問でいっぱい。私が去ることを悲しく思わないの?私が何か悪いことをした?」 前半部分は古賀さんの“愚痴”で終わる。「何を読み手に伝えればいいのか、最初は分からなかった」。エッセイを仕上げていく上で心強かったのが週に1回、自身の好きなテーマを探究する「総合的な探究の時間」で古賀さんの担当を務める米国人男性教諭の存在だ。夏休み中のオンラインミーティングなど試行錯誤を繰り返しながら、「モヤモヤしたけど『じゃあ、友人をやめたいの?』と聞かれればそうは思わない。先生とのやりとりの中で、価値観の違いは重要ではないと学んだ」
■たどり着いた答え 後半部分。ネットで調べると同じような経験をした日本人がたくさんいること、集団主義で人との継続的なつながりを切望する日本人と、個人主義で独立を重んじる米国人との文化や習慣の違いを知ったくだりを経て、これまでのことを回想する。そして考えを膨らませ、答えにたどり着く。 「全く同じ価値観を持つことが友情を維持することではないはず。あなたとあなたの友人が最も大切にしているものが違っても一緒に過ごした楽しい時間の思い出は残る。そして、それがつながりを保つために必要な全て」 古賀さんは「価値観の違いで人間関係を制限すべきではない。価値のある時間を過ごしてきた思い出は、頭の中にずっと残る。『そこが一番大事だよ』と、たくさんの人に伝えたい」と笑顔を見せた。 ■330作品の頂点 330作品の頂点に立った古賀さんは「びっくりです。賞を取れると思っていなかったし、ましてや最優秀賞は夢かと」。「納得する答えを見つけるまで付き合ってくれた先生には感謝しかない」と続けた。コンテストの審査員は「平易な文章でありながら身近な経験を出発点として疑問を深掘りし、考察を深めている点が非常に優れている。構成や分析の精緻さ、具体例の効果的な用い方が目を引き読者に明確なメッセージを伝える力を感じた」と絶賛した。
古賀さんは英検(実用英語技能検定)準1級に合格しているが、帰国子女でもなければ、英会話教室に通ったこともない。「この学校に入ってから英語力がぐんと伸びた」と言う。「英語というコミュニケーションツールを使って違う国の人と知り合えるのが楽しい。将来は英語を使える仕事に就きたい。日本が好きなので、日本文化を発信したりとか」と目を輝かせた。