少年少女に見てほしい、タイ映画の佳作「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」 シネマプレビュー 新作映画評
公開中の作品から、産経新聞の映画担当記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 ◇ 「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」 双子の中学生姉妹の絆、思春期の揺れる心を丁寧で繊細な表現で、しかも、びっくりする手法も使って描いたタイ映画。少年少女向けの佳作だ。日本はアニメ一辺倒で、少年少女向けの実写映画がほとんどないことを考えたら、貴重な一編ともいえる。 中学生のユーとミーは、一卵性双生児の姉妹。生まれたときから常に一緒で、なんでも共有してきた。だが、世紀末に揺れる1999年夏の田舎町で、2人の関係は少し変わってしまう。初恋のせいだ。 前半、2人が、双子であることを巧みに利用し、いたずらを繰り広げる、やや説明的な場面が続くが、実はこれがほろ苦い後半への伏線となっている。2人が愛らしいがゆえに、切なくなっていく見事な脚本。監督を務めたワンウェーウとウェーウワンのホンウィワット姉妹が手掛けた。 長編映画はこれが初めての姉妹監督は、お察しの通り、双子だ。一方、主演は新人のティティヤー・ジラポーンシン1人。双子を1人で演じ分けた。知らずに見た記者は気づかなかった。日本の10代にとっても忘れられない夏の映画になるのでは。 28日から全国順次公開。2時間2分。(健) 「言えない秘密」 留学から音大に復学した樋口湊人(京本大我)は、学内で謎めいた内藤雪乃(古川琴音)と出会う。二人はひかれ合うが、雪乃は湊人の前から姿を消す。SixTONESの京本と映画、ドラマに引っ張りだこの古川。新鮮な顔合わせのファンタジー恋愛映画だ。 同名の台湾映画を原案に「身代わり忠臣蔵」などの河合勇人が監督。その台湾映画は「時をかける少女」(大林宣彦監督)のオマージュのような味わい。 こちらも「時をかける少女」に匹敵する涙腺を刺激する作品になっているが、河合監督は、ぐっと今日的な味わいに仕上げており、さすがだ。欲をいえばラストは、もっと、すっきりしたほうがよかったか。 28日から全国公開。1時間54分。(健)